A Greek-English Lexicon
となりのトトロで言うところの大トトロにあたるのがこの辞書です。
一部の人には「デカ辞書」と呼ばれています。
映画の中で大トトロはでかい図体の割に空を飛んだり飛び跳ねたりと、軽快に動き回っていましたが、この辞書はものすごく機動性が悪いです。
軽快さなどかけらもありません。
あるのはただどっしりとした重量感と、表紙と背表紙に書かれたGreek-English Lexiconという文字から漂ってくるただならぬ威厳と威圧感だけです。
実際ギリシア語の原点を読んでいても、ほとんど中辞典で間に合うので、この辞書を引くということはあまり無いのですが、この辞書はその重厚な雰囲気と存在感の強さでちょっとしたインテリアとしても極めて高い効果を発揮します。
しかも、このサイズの辞書でこのお値段は実はかなりリーズナブルなのです。
ギリシア語に本気で取り組みたい方、家の本棚が何となく寂しい方、むやみやたらにお金を持っている方、そんなあなたにぜひともお勧めしたい一冊です。
Latin Dictionary Founded on Andrew's Edition of Freud's Latin Dictionary
本書はOLDが刊行せられるまでは古典ラテン語辞典の最高峰でした。いまでこそOLDにその地位を明け渡しましたが、それはより新しくより充実した辞書ができたといふ意味でさうなのであつて、何も本書に問題があるわけぢやないし、その価値と生命が失はれたわけではありません。ルイスの本書にせよ、基本辞典にせよ、語義説明や例文が段階に応じて必要十分に与へられてゐますので、ラテン語の段階的な学習に役立ちます。さすがに研究者向けにはどうか知りませんけどね。俺はラテン語を読むときだいたい本書を使つてゐます。ほんたうに必要があればOLDを繙きますが、OLDは大判過ぎて扱ひにくいのですね。本書も大判ではありますが、手頃な大きさに収まつてゐて、扱ひやすく助かります。ただ難点をいへば見出し語の字体が独特なゴシックでやや読みにくい点ですね。基本辞典のはうも同じですけど。でも中途半端な羅和辞典を買ふより本書を買ふはうがずつとお勧めです。使へば使ふほど、読めば読むほど、あぢはひ深くなり、西洋古典研究の含蓄が感じられます。価格もむしろ安いでせう。