う(1) (モーニングKC)
ラズウェル細木氏の作品はほぼ全て出れば買っているが、
正直酒のほそ道、うまい話にゃ魚あり、つまみ道場などの
定番シリーズ以外の作品はあまりレベルが高いとは言えず、
今作もあまり期待せずに買ったのだが思ったより面白かった。
なぜか、うまい話にゃ〜とつまみ道場は前巻から1年以上
続巻が出ないので、これがラズウェル細木氏の新たなる
新シリーズになってくれるのだろうか。
2巻が出たら又買うと思います。
カンゾー先生 [DVD]
二つの場面が印象的だった。当時の日本人のメンタリティをよく表しているからだろう。
○肝臓炎の治療のためのブドウ糖の支給が減らされそうとするのに、赤城風雨医師が抗議するとき、肝炎治療の重要性を縷々説いたあと、「畏れ多くも天皇陛下の…」と天皇の名において役人を説得しようとする場面。
○鳥海外科医に「わしも軍部のやり方には不満だが、始まってしまった戦争じゃし」とつぶやく場面。
常に患者のことを思いつつも一瞬名誉に眼が眩むという赤城医師は人間臭さを備えた職業モラルの高い人だ。それでもあの戦争を否定してはいなかったんだということが新鮮な驚き。軍部に反発するのは人の健康に反するようなことを押し付けられるときであり、戦争そのものが理由なのではない。始まってしまったとき歯止めをかけられる人などいないのかもしれないと思う。
志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを い「三枚起請」「お若伊之助」
「三枚起請」は、だまされた三人のリアクションの違いを見事に演じ分けていて、文句のつけようがない。落語研究会のバージョンでは、「起請」について由来などを語っていたが、その方がよかったのかもしれない。
「お若伊之助」は、二つの意味で好きになれない。やはり、噺自体が、グロテスクであり、また、何ゆえ、大家のお嬢さんが護衛もなしに幽閉されているのかの必然性が師匠によっても説明し切れていない。話し自体に無理がある。
もう一つは、志ん朝師匠のCDについていたるところで指摘させていただいているのだが、ダブった発売が多いということである。あろう事か「志ん朝復活」シリーズの「へ」で「碁どろ」と一緒にこの「お若伊之助」が取り上げられている。日付と場所が違うのでまだしも許せるが、どうせ、同じシリーズで取り上げるのであれば、もう少し大ネタを10年おきの口演で取り上げて欲しかった。
こういう点が本当に残念である。