狂気の父を敬え
鈴木輝一郎先生の「信長と信忠」を読んだすぐ後に読みました。
嫡男の信忠も父信長の恐ろしさに失禁脱糞し、
次男の信雄も父信長に「死ね」と言われる。
二冊を通して思ったことは、
信忠も信雄も、信長というあまり強い個性の添え花に過ぎないのか?ということ。
忍者モノ?の色合いが割と強いと感じましたが、
鈴木輝一郎先生の作品はこれで4作読ませていただきましたが、
共通して言えるのは、プロローグの掴みが素晴らしく上手い。
読み飛ばしたくなるようなつまらないページがない。
*反面エピローグはあれ?というような終わり方が多いかもしれません。
信長と信忠
<血の繋がった和睦の道具>
信長にとって欠けている能力とは、
<一万騎規模の大軍指揮能力と、人の愛を受け入れる能力>
子供の価値は、
<役に立つか、立たないかで決まる>
そして、実子・信忠の能力に”嫉妬”しまくって、挙句は失敗するのを
待ち始める。この信長像は結構新鮮で楽しめます。
でも最後は息子・信忠に<あんたが、私にイラつくのは、自分が凡俗のになったからって、わかってます?>
なんて切りかえされ、その明朝に本能寺で(今晩は、信忠に謀反されるかも?)なんて怯えていたら、
まったく疑わなかった光秀にやられてしまうなんて...
この作家の本は、「中年宮本武蔵」(武蔵と養子の話)、「信長が宿敵 本願寺顕如」(何故に西、東本願寺となったか?)
といずれも父子物を読了させてもらっていますが、本当面白いです。当たりはずれがありません。
今度は是非、龍馬とか、幕末物読ませてもらえませんか?
何がなんでも作家になりたい!
本書の内容は主に、以下の3つに集約される。
第一は、新人賞をとることが出発点ということで、複数の賞に応募する「サイクリック投稿法」等新人賞のとり方が説明されている。例えば次のような実践的アドバイスがある:
1地方公共団体や、出版とは無関係な法人が主宰する新人賞は、仮に名のとおった小説家が選考委員になっていたとしても、受賞経験が小説家のキャリアとしてはカウントされない。
2自分のデビューしたいジャンル以外の本を意識して幅広く読むこと。
3「コピー劣化」の法則と言うのがあり、手本にした作品を越える事はできない。
第二は、受賞後の編集者とのつき合い方、同業者組合に入るべきか、税金はどう処理するかなど生活者としての小説家について細かく書かれている。
第三は、転職して作家になろうかと思っている人のためのアドバイスが豊富にある。脱サラして小説家になるなら、サラリーマンのあいだにクレジットカードは入るだけ入っておけ、奥さんに働かせるなら家事はしっかりやれ、などなど。著者は、タイトーというテレビゲームの会社の営業をしていたが、上司と折りあり悪く脱サラを決意、宅建と行政書士の資格取得と小説執筆を並行してこなし、資格がとれたので1年後に会社を辞めたのが27歳。ところが、賞に落選し続け、小説のスクールに通うなどして結局デビューをしたのが31歳。だからと思うが、「デビューするまでは(してからも)、決して会社をやめてはいけません」とアドバイスをしている。
文章はテンポが良く、ユーモアたっぷりで一気に読める。
本願寺顕如―信長が宿敵 (人物文庫)
"最近隠れた戦国武将等を読むのが趣味になっている中で本作品を読んだ。宗教を中心にした作品はとっつきにくい印象はあったが内容は素晴らしいものであった。信長が戦に弱いのは浄土真宗の家臣や、徒歩(農民)がいたから真剣に戦わないとの見解が興味を引いた。
秀吉の親指2本説には驚いた。他にもこんな説はあるのだろうか。
本作品で印象に残ったのは次の二つ。
(1)強者とは、ただ存在するだけで勝利する者をいい、弱者とは、安穏とすると敗北する者をいう。強者は負ける場所をなくすように配慮し、弱者は勝てる場所を探す。
(2)親の望むように子供は育たないが、親のようには子供は育つ。
(1)はまさに信長と義昭であり、(2)は顕如と教如であるが現在の親子でも言えることである。
歴史小説327作品目の感想。2011/09/12"
伊坂幸太郎選 スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎005 (講談社文庫)
個人的にはなかなか楽しめました。
小松左京氏は好き嫌いがかなり分かれる作品。
私はSFも好きなので結構楽しめましたが、本格派を期待する方にはちょっと頂けない内容でしょう。
とはいえまさにブレンド、様々な趣向の作品が楽しめますので色々な方にオススメできます。