壬生義士伝(4) (KCデラックス)
短命に終った角川書店の青年向けコミック誌「コミック・チャージ」から講談社「別冊少年マガジン」誌に移籍後もゆったりとしたペースながら描き続けてられている名作です。
4巻の内容は前巻より引き続き、題名から連想される新撰組の話からは離れて幕末の南部藩の武士である主人公親子が持つ時代と身分を乗り越えた人間としての含羞、優しさ、高潔さを描いて居ます。
同時にその徳高さのみでは乗り越えられなかった時代のうねりと、有能でも人道を疎かにした人物に対する厳しい断罪、幕末に繰り返し東北の藩を襲った飢饉の凄惨さ、朝敵となった南部藩士達が辿った過酷な運命もしっかりと描写されています。
浅田次郎氏原作の素晴らしさと、すでにデビュー40年以上を超えているながやす巧氏のまったく瑞々しさを失わないペンの冴えにただただ感動の一編。
大いにお薦めです。
壬生義士伝(1) (KCデラックス)
浅田次郎の原作小説・壬生義士伝「新撰組でいちばん強かった男・吉村貫一郎」を中心に滅び行く武士階級を描く。
明治の世。幕末の喧騒も何処へやら。東京で文明開化の見世物が流行る中、居酒屋を営む老人の元へ一人の若者が訪ねてくる・・・。
男は老人に昔話をせがんだ。かつては新撰組の隊員であった老人に同じく隊員であった吉村貫一郎の話を聞くために!
幕末の京都で尊皇攘夷派の志士たちを震え上らせた会津藩お抱えの剣客集団「新撰組」。
池田屋事件で尊攘派志士たちを一網打尽にし、一躍名を上げた彼等は新規の隊員を募集。
行き場のない食い詰め浪人を中心に、それでも多くの新規隊員を加えることになる。
その中に奥州は津軽藩から脱藩して新撰組に加わろうとしていた男がいた。
一見して優男のその男は実は北辰一刀流の免許皆伝の腕前。
新撰組でも腕利きの剣客として知られていた二番隊組長の永倉新八を立会いで追い詰めるほどであった。
その男こそ「吉村貫一郎」その人であった!
吉村と新撰組の徳川時代の終焉を彩る物語の幕がここに上がる!!!
壬生義士伝(2) (KCデラックス)
やはり浅田次郎作品の劇画判はながやす巧先生に限る!
と実感しました。浅田作品はほとんど読んでいるのですが、
映画化、ドラマ化されているものも多く、
それらにはいつもがっかりさせられています。
どれもこれも原作の良さが出ておらず、時間的な
制限があるのは分かりますが、原作を読んだ時の
感動は微塵も感じられません。
しかしながやす先生の作品は原作以上に感動させてくれます。
鉄道員もながやす巧先生のものは素晴らしかったのですが、
この壬生義士伝はさらに素晴らしく、原作に対し忠実に
表現されており、まさに原作を読んだ時のイメージその物が
絵としていきいきと表現されています。
この調子でいくと10巻以上になると思いますが、
3巻以降はいつ出るのでしょうか?
いつまでも待つつもりでいますが、もうご高齢なので
きついのかも知れませんが、ながやす先生のライフワーク
として最後まで書き続けて欲しいと切に願います。
鉄道員/ラブ・レター (講談社文庫)
美しい情景も人の表情も繊細さが絵の中に込められてます。
大人をうならせ、泣かせるマンガだと思います。
どちらの話も良いですが、私は現実味のあるラブレターの方が好きです。