逃亡日記
著者自らが「しがらみで出さざるを得なかった便乗本」と身も蓋もないことを宣言してしまっている。たしかに、内容も「うつうつひでお日記」はまだしも「失踪日記」を読んでいなければ訳が分らないだろうし…。だが、この2作を読んだ人は、この「便乗本」を手に取ったほうが良いのでは。
失踪日記には描かれていなかったエピソードがインタビュー形式で語られているのだが、これが非常に痛い、淡々と語っているのが逆にリアルで痛い。実際に失踪していたある時期のエピソードは描くのが苦しく、漫画には描かれることもなかったという。
そういったことはあるにせよ、結果的に、このインタビューを読んで、「失踪日記」が、描くべき事柄が吟味された『漫画として』非常に優れた作品だということに改めて気付かされた。
便乗本の域を超えた便乗本といえる。でも、さすがにこれ以上はないだろうなぁ。
インタビューの冒頭で著者が「取材旅行です(笑)。失踪もアル中も漫画に描けば結果取材だし」と語っている。なんか、物凄い名言のような気がする。
失踪日記
新聞の書評でこの本の内容を読んだとき、不覚にも涙がダラダラ
流れました。
「不条理日記」を人生のバイブルと思い、愛読してきた自分ですが
「最近、吾妻さんの作品見かけないなぁ。でも、あの人のことだ
から、印税生活で楽しく暮らしてるんだろう」などと呑気に思って
おりました。
それが、まさかの「失踪」。
しかしまあ、これも、あまりにも吾妻さんらしくて「涙」が出たの
です。
早速取り寄せてこの本をむさぼり読みました。
浮浪者生活やら配管工生活やらアル中生活やら、次から次へと遠
い世界のことのような現実が・・・。
しかし、何よりも昔「SFを描きたかったのに、思うように描か
せてもらえなかった」ということが、非常に驚きでした。
自分が一番熱狂して読んでいたのが、吾妻さんの不条理SFだっ
たのに・・・。出版社には理解されてなかったのですね。残念な
ことです。
吾妻さんには、自由に作品を描いて欲しい。出版社ではなくご自身
の納得いく作品を「楽しんで」←(ここ重要)描いていて欲しいです。
自分はただの一ファンですが、遠くから声援を送ります。
勿論、吾妻さんの印税生活には必ず協力しますとも!
ガチバン [DVD]
「クローズZERO」とは違ったヤンキーものです。
窪塚くんの役どころは、とってもかわいかったです。
演技も上手で好感が持てました。
ヤンキーものは「クローズ」等のガチガチなものより、これくらいライトな方がスキです。
酷評もあるようですが、昨今、入り組んだストーリが多い中、分り易く単純なこんな映画も良いと思います。
彼岸島 スペシャルコミック・エディション (初回限定生産:本編DVD+特典DVD)
原作よりグロテスクな部分は少なくなったため見易かったし、ストーリーがサラサラと流れるようにいったけどわかりにくくもなかった。
でもやっぱり原作には勝てないかなといったところ。
映画ならこんたもんかと、まずまずの出来です。
レンタルする分にはオススメ。
お笑い芸人お宝珍盤コレクション
趣旨はとてもいい。コミックソングではなく、芸人さんの「マジ歌」を中心に集めてみたというのは画期的だし、類を見ないもの。ただ単に「面白い歌」を意味もなくかき集めただけの「お笑いソングブック ナンセンス歌謡の日々」なんてアルバムの10倍、いや100倍価値がある。それに、監修・解説・選曲は土龍団のお歴々だからハズレはない。
でもね・・・裏に大きく「18(関敬六「浅草の女」)以外は全て初CD化」って書いてあるけど、それは間違い。21曲目・林家木久蔵師匠の「酔姫エレジー」は1996年発売の「山本正之作品大全集」に収録済みなんだ。しかもこっちは、B面の「歌奈里亜」も入ってるんだな(なぜなら読んで字の如くどちらの曲も山本正之先生の作詞・作曲だから)。
そういうことで、とってもいいCDだけど致命的なミスがあるので星を4つにしました。ただ、帯にもあるように、こういう良質のCDを多くの人が購入すると続編が出る確率が非常に高くなる。「山本正之作品大全集」は現在入手不能なだけに、このCDを買ってみんなで楽しんで欲しいと思います。