商品説明にも明記してある通り、現在販売中の商品の媒体はCD-R。ジャケットもプリンタ印刷で発色がイマイチ。日本国内でいえば、日本コロムビアのオンデマンドCDに相当するものです。さらに残念な部分を挙げておくと、ジャケットに記載されているのはトラック番号と曲名のみであり、錚々たる顔ぶれのアーティスト名はどこにも書いてありませんし、Metropolisについての解説等も皆無です。 しかしながら、このCDを買うような人はそのあたりの情報は先刻ご承知でしょうから、大した問題ではないかも。 とっくにあきらめていた音源をこうして手軽な価格で入手できる事にただただ感謝です。
近年書肆の店頭に(ジジェクに次いで)地歩を固めつつあるアガンベン。どこから手に取ったらいいか…という方にお薦めです。大変細かく章立てされており、講演録のテンポで、非常に読みやすい。哲学の門外漢でも大丈夫だし、薄いし… コジェーヴの「歴史以後の人間」(バタイユの「残余としての否定性」との対比)が問いの導入となり、アガンベンが「人類学機械」と呼ぶ古来の「人間」観史を手短に叙述します。(このへん見事です。トマス・アクィナス、リンネ、ピコ・デラ・ミランドラ、ヘッケルら。) 中盤は、ハイデガーの有名な「動物は世界が乏しい/人間は世界を形成する」の存在構造[の相差]についての執拗な議論を辿り、スリリングです(タイトルの「開かれ」はハイデガーのLichtung概念のこと。) そしてアガンベンの問題圏の只中へ。生政治的な「人類学機械」を停止させるイメージとしてベンヤミンやティツァーノのタブローにそくして「性的充足」が持ち出されるのですが、議論の手並みが鮮やかで、充実感が味わえました。 わたしはこうした方面は疎いただの動物好きのサラリーマンですが、たまたま人間と動物という問いの立て方に興味を持って手に取り、大収穫でした。お薦めできます。薄いので図書館で借りて読むのにも好適です。 (ただし、ハイデガーアレルギーの方にはお薦めできません。)
既にハードカヴァーで持っているヒトにおすすめ、と書きましたが
私の場合は、学生時代にハードカヴァーで購入したもののほとんど一度読んだっきり。
ご存知のように、研究者にとっても底本となる本でありながらデータは間違いだらけという
変な本なので、読み返す機会も少なかったのだがこの版では持ち歩きに便利でカラーの図版が豊富。
神話や、寓話としてルネサンスの芸術家たちの列伝を楽しむ余裕のある大人なら
”買い”でいいとおもいます。
たくさん売れて、3巻以降も続巻することを期待しています。
ヴァザーリの生誕500年で、日本でも彼の全著作が邦訳される事を期待しています。
国内盤と同仕様と思われる、日本語字幕を収録した
英Optimum社より発売中のUK StudioCanal Collection盤のレビューです。
国内盤の発売前ですが参考になると思うので掲載します。
・本編について
片面2層ディスク。
本編はMPEG-4 AVCコーデックの1080p HD画質、画面サイズ2.35:1で収録。
コントラスト、グレインともに適度なレベルに仕上がっており、
多少のキズや歪みは見られるものの、かなりの高画質といっていいと思います。
音声も良好です(オリジナルのフランス語およびドイツ語の吹替が
DTS-HD Master Audio 2.0chで収録されています)。
なお、米Criterion社から発売されているUS盤(私は所有していませんが)
はフランス語音声をリニアPCM 1.0chで収録しています。
・字幕について
日本語字幕はユニバーサル=StudioCanalのソフトにしては
かなり良い出来だと思います。
2人分のセリフが同時に表示されることも、漢字が多用されることもありません。
翻訳も良好で、不自然な部分はありません(翻訳者クレジットなし)。
しかしながら、冒頭の(同じフレーズを繰り返す)ナレーションの
繰り返し部分が表示されていなかったり(この部分は英語字幕で確認できます)と、
やや疑問もあります。
私は紀伊国屋書店より発売のDVD盤を観ていませんが、
日本語字幕については細川晋翻訳の字幕を収録したDVD盤の方が
より信頼できるかもしれません。
日本語以外に英語やドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、
フィンランド語、スウェーデン語の字幕を収録する多言語仕様。
・特典について
「ジネット・ヴァンサンドーによるイントロダクション」(SD・19分・日本語字幕付き)
…映画評論家のG.ヴァンサンドーが、本作の歴史的意義や内容の様々な解釈、
公開当時の観客への受け入れられ方を解説する、必見の特典。
US Criterion Collection盤にも同様の特典が新録で収録されているようです。
「短編1:『スティレンの唄』(1958年)」(HD・14分・日本語字幕付き)
「短編2:『世界のすべての記憶』(1956年)」(HD・23分・日本語字幕付き)
…ポリスチレン製品生産の過程と、パリの国立図書館を取材した、
アラン・レネ監督による短編ドキュメンタリー映画を美しいHD画質で収録。いずれも
従来日本ではDVD『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編集』(紀伊国屋書店)
でしか観ることができなかった貴重な作品です。
監督の美的感覚がうかがえる芸術的な作品に仕上がっています。必見です。
US Criterion Collection盤にも同じ映像が収録されています。
「ドキュメンタリー:『マリエンバートの迷路のなかで』」(SD・34分・日本語字幕付き)
…映画製作に至る過程や作品の解釈を巡る、見応えあるドキュメンタリー。
US Criterion Collection盤には未収録。
「ドキュメンタリー:『アラン・ロブ=グリエ』」(SD・49分・日本語字幕付き)
…本作の脚本を手掛けた作家のアラン・ロブ=グリエを取材したドキュメンタリー。
内容は『マリエンバート』とはあまり関係ないです。
US Criterion Collection盤には未収録。
「予告編」(SD・4分・英語字幕付き/日本語字幕なし)
欲を言えばUS Criterion Collection盤に収録されているメイキング・ドキュメンタリーや
監督インタビューのような映画制作の舞台裏に迫る特典も収録してほしかったところですが、
映画の内容の理解が深まる特典が収録されているのはうれしいものです。
・総評
現在手に入るDVDよりも綺麗な映像と貴重な特典が入っていながら
DVD盤(定価5040円)よりも安価であり、字幕も悪くないので、
日本語で本作を観るなら、このブルーレイは間違いなくオススメできます。
ただ、日本語字幕がなくてもよいならば、アラン・レネ監修の
US Criterion Collection盤の方がベターかもしれません。
ムーティ指揮、ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団。1994年、ライヴ収録。 キャスト:リゴレット/ブルゾン(Br)、ジルダ/ロスト(S)、マントヴァ公爵/アラーニャ(T)、スパラフチーレ/カヴラコス(B)、マッダレーナ/ペンチェーヴァ(MS)。
厚みのあるオケで少し鳴りすぎの気もしますが、ライヴの熱気は伝わってきます。歌手陣では、アラーニャが元気良く、張りと輝きのある声で生き生きとした公爵を演じています。ブルゾンは、スタジオ録音のシノーポリ盤でも好演でしたが、ここではさらに、父性を強く感じさせる歌唱で、リゴレットの苦悩がひしひしと伝わってくる。心を打たれます。ロストも好演。親子ほど違う若い共演者の中で、ブルゾンのベテランの味が、演奏全体にも深みを与えているような気がします。
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