有名な作家の裏側をえぐるように描写している。
赤川次郎とはまったく違う人物で、自分の対極を描いたのだろう。
今回も、杉原爽香が活躍する。
どこから、こんなに楽天的な人物が描けるのだろうか。
誰がモデルになっているのだろうか。
解説を書いているファンクラブの人だろうか。
非常に有名な児童文学である。少年達が困難や不和、危機を乗り越えて、お互いに信頼しあい団結し成長していく様は、男女を問わずワクワクするだろう。きっと基地作りや冒険ごっこにもおおいに役にたつだろうと思う(最近はそう言う遊びをする子はいるのだろうか?)。 この年になって初めて読むと、民族的な偏見や奴隷制の名残がある設定、侵入者と命がけで戦うことへのためらいのなさには違和感を覚えてしまった。さらに「この子達はきっと半裸で裸足の生活ではなく、文明的な寄宿舎生活の延長上で、二年間を過ごしたに違いない。毎日ネクタイも結んでいたかもしれない」と思わせるような、英国的な規律に満ちた雰囲気もある。 ともあれ、そう言う印象を物ともしないほどのドラマとしての力がこの作品にはある。それが不朽の名作として残った理由だと強く思える。
有名な作品だが、恥ずかしいことに公害問題がテーマなのだとばかり思っていた。
事実をモチーフにした重い話である。戦争の狂気と、人間のエゴや欲望が合致したときに、道を外れてしまうことが分からなくなってしまい、連帯責任を押しつける共犯者になってしまうのだろうか。そして、直接荷担しなかったにもかかわらず、その場に居合わせたことで自分の無力さに一生さいなまれる。
この事件のような話は戦争体験でいくらでも聞くことができる。そういう感覚というのがやはり人間本来の素の感情に基づくものなのだろう、と信じたい。
本書では事件に直接の責任がある人間よりも、周囲の人間の生い立ちや行動を詳細に描くことで、事件によりリアリティーを与えていると思う。大勢の普通の人の行動で社会というのが構成されて、世の中は良くも悪くも動いていく、というと言い過ぎだろうか。
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