魏における司馬氏のクーデターと、孫権の死前後の混乱が今巻で、蜀はお休みです。 ボンクラの子孫台頭による身内支配の行き詰まり、独裁者の老害、暗愚な君主による国政の弛緩と、 三国がそれぞれの理由で亡国の坂を転げ落ちていきます。 そして面白いことに、加害者と被害者のどちらに正義があるのか、まことに分かりづらいのです。 国が破れるとはこういうことなのか。
ん?...これだけみると、どこかの国の今みたいじゃないか。 うーん。 つまり人間は、2,000年経っても変わらないということか。
四知から始めた宮城谷三国志の真意が、まさにクライマックスを迎えようとしている。 あとどのくらい続くのか分からないが、ここまで付き合ったら、もう後には引けない! 本棚も破裂寸前でクライマックスだ。
劉備は曹操、孫権を伺いながら、蜀を獲得し、本巻で曹操、孫権、劉備の三者鼎立となる。 宮城谷氏は言葉・文字を重視した書き方であり、清潔を称賛し、汚濁を憎悪する。その姿勢から読者は「三国志」の物語を読んでいくと言う前に、様々な事を教えられる。 ただ、史書を研究している人からすると、なまじっか史書に即した内容は、読む意欲を失わせるかも知れない。 他の宮城谷作品よりは文学的な魅力には欠けるように思う。
中国の古典から有名な言葉を選んで
意味がわかりやすく説明されている。
普段小説ではわからない著者の考えや
生き方などが古典の解釈から伺え、
面白く感じた。
光武帝ものは、ネットで過去に話題になった「やる夫光武帝」しか
ちゃんと完結した作品を見たことが無く。
上記の作品の完結後に始まった、宮城谷氏の小説の切り口に
新聞連載時から期待してました。
手堅い史実に沿った作りと、当時の文化・風習の取り上げ方は
宮城谷氏の他の作品同様。かなり掘り下げてあり満足でしたが。
同じく作者の特徴である淡々とした人物描写が足かせとなって
盛り上がりに欠ける欠点も感じました。山場では少々史実から
はみ出してもいい、迫力ある描写が読みたかったですね。
伍子胥の父兄の刑死から、伍子胥が呉に流れ受け入れられるまでが描かれてます。
他の作家の本であらすじもだいたい把握しているつもりだったが、 登場人物も多彩で、まったく新しい物語として読める内容でした。
苦難の時期を多くの有能な人に支えてもらい、時宜を得て飛躍するという、ある意味 著者の王道パターンなのですが、それだけにつぼを心得ている印象を受けました。
次の巻が楽しみです。
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