とても過酷な話であるのに、読み終わったあと、ほのかに甘い気持ちが残ることで、あらためて井上ひさしの偉大さに触れた思いだった。まさに余人をもって代え難しなる偉大な小説家であったことを証明しての最後だったのかと今更ながらの追悼の思いである。どんなに悲惨な状況を描くにしてもユーモアを忘れず、冷酷な世界の中に灯のような愛がある人間賛歌でもあり、問題への追求は最後まで逸らさずの信念もあり、病気さえしなければ、まだまだ活躍できた人と、その死が惜しまれる。
時は1948年夏、広島。あの忌々しい1945年8月6日から三年。図書館員として働く主人公・美津江(宮沢りえ)は、原爆を研究する青年・木下(浅野忠信)と出会う。美津江はあの日から三年、心にあることを決め生きていた。「恋はしない、幸せにはならない。」ということを。そんな時、あの日亡くなったはずの父・竹造(原田芳雄)が美津江の前に姿を現す。父は美津江が何故そう決心したのかを追究し、娘が幸せを手にするために現れたのだった。
日本人、いや、人類が絶対に忘れてはならない「ピカ」の実像を、コメディタッチの日常から造詣深く掘り下げたのが本作品。宮沢りえと原田芳雄の名演技には手放しで称賛するほかなく、観た者は「あの悲劇は人類に何をもたらしたのか」を切に問われることであろう。
作中、美津江が自身の仕事を「(昔話を)そのまま忠実に子どもたちに伝えなければならない」と表現したように、直接知らない我々こそが戦争の悲惨さを次の世代に語りつくさねばならない時が迫ってきている。美津江の決心の裏側には、痛いほどの切なる想いが隠されている。その想いを知った時、私は涙を流さずにはいられなかった。評価は五段階であるが、「10」を付けても足りないほどの名作である。
井上ひさしの未刊行作品は少なくとも長編で三作、短篇ではまだまだある。しかし、生前、本にならなかった作品というのはそれなりの理由があるはずだ。本人が出来に不満であったもの、セールスとして売り上げが期待できないもの、途中で頓挫してしまったもの、など。 「言語小説集」はこの三要素すべてがあてはまりそうだ。それをあえて出版する意味がどれほどあるか。しかも、雑誌掲載時の中央公論ではなく新潮社というのもなんだかしっくりこない。
この短編集でもっとも注目すべきは「見るな」である。舞台となるのは「現実の」吉里吉里圏に位置する、岩手県船越地区である。今回の震災・津波で不幸にも「吉里吉里人」以来の注目を浴びることとなった大槌町と隣の山田町の境あたりに位置する。井上ひさしにとって「吉里吉里人」以外にも「花石物語」や「新釈遠野物語」でおなじみの、底なしの陽性の住民たちをめぐる物語。その人々の鎮魂の意味で、この作品には不思議な価値が生じてしまった。 そして、「グロウブ号の冒険」につながる海洋譚およびクレオールへの関心。井上のクレオールへの興味は、彼の日本語観の柱となるものだ。「正しい」「純粋な」言語を拒否し、日々生きて変容していく「話しことば」を礼賛する。そのスタンスを確認するためにも基本となるテクストだと思う。
集中のほかの作品は、あまりぴんとこないものが多い。特に「括弧の恋」などは、たしかにワープロ、パソコンがはやり始めた頃には、おもしろかったのかもしれない。しかし今読むと古びた感があるのは否めない。しかも、なんとなく筒井康隆「虚構船団」に発想が似ているし。他の作品も、読んでいて乗ってこない。
いっそのこと、未刊行作品中「与兵衛沼心中」や「捨て子」など仙台時代のものに、今回の「見るな」を含めた東北ゆかりの作品集にしたてあげたほうがえがったんではねえべが。
来たよ来たよ来ましたよーーー。 ようやく待ちにまったひょっこりひょうたん島リメイク版のDVDカットが。 4月~放送されていた海賊の巻と、地上波では未放送の魔女リカの巻を収録しています。 バラ売り版もあるのでそちらでもいいかも。 ただBOXになにか特典とか付くのかどうかがよくわからないところ。 付くのならBOXの方がいいですね。 少し高い気もしますが、ひょうたん島貯金をしてください。 魔女リカの巻は今後地上波で放送されるのか不確かな所ですが是非放送してもらいましょう。 続編製作もね。あのままなんてあんまりだーハカセー。 この後も、伊藤悟氏によると、BOX予定はあるそうなので、 ゆっくりと続きを待ちましょう。
本当は、まだ手にいれてないけど、本当にあのオリジナル版?やはりガバチョは藤村有弘じゃなくっちゃ!リメイク版の仕上がりは見事だけど、確信犯のガバチョを、内向的な雰囲気の名古屋章はナインジャナイの?まだルー大柴あたりを起用したほうが、あの けたたましくて、パワフルで八方破れなキャラクターにはまっていたように思う。これはドラえもんの声がかわったことより問題だ!!間の話がぬけていると言うことだけど、 このオリジナル版に期待を寄せるのは、そんな理由である。 あと、声優はそのままの劇場アニメ版「ひょっこり〜 」を東映まんがまつりで上映された記憶があるのだが、この場を借りて、リリースを熱烈に望む!!! ♪~ドンドン ガ〜バチョ!ドンガバ〜チョ〜〜ソレッ!
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