初出は1976年の『週間朝日』。 本書に収録されているのは「潟のみち」、「播州揖保川・室津みち」、「高野山みち」、「信州佐久平みち」の4篇。9巻ともなると文章も内容も安定しており、引き込まれるように読んでしまった。 圧巻だったのは「潟のみち」。新潟の干拓地を訪れる話だが、土地にかける農民の思いや、小作制度による悲惨な体験が描かれており、迫力がある。この土地が現在どうなっているのか、関心をそそられる。 もうひとつ面白かったのは「高野山みち」。特に高野山周辺の聖に焦点を当てている。聖とは寺には属さない半僧のことで、女性と関係を持ったり、物乞いと変わらなかったりする。その実態を洗い直し、民衆との関係を衝いた点が素晴らしい。
炊きたても、冷めても、おにぎりにして、美味しくいただいています。
現在在庫切れとのこと、またリピートしたいのでよろしくお願いします。
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