時代小説が好きで今までも鬼平や眠狂四朗にはまりましたが、木枯し紋次郎は特に良いです。時代小説のジャンルを超えた おもしろさがあります。名作なので全十五巻再販してほしいです。
とてもハイレベルな作品です。タイトルの意味も深い。ミステリー好きなら必読です。
とにかくド助平なのである。笹沢佐保の小説に出てくる女たちは。 純愛ラブストーリーなんてものではない、愛欲セックスストーリーそのものだ。
主人公・香織は会社の同僚・水沼と愛人関係にある。水沼との不倫旅行中に殺人事件が起き、水沼は容疑者として疑われることに。主人公は愛する男の無実を証明するために奔走するが、しだいに水沼に対する疑念が心の中に生れてくる・・・。
とはいえストーリーとともに、主人公の愛の対象は、水沼自身というよりは男とのセックスそのものに変わっていく。 水沼のペニスを「これを水沼のものだという意識はない」と感じて、ペニスを「X」と名付けて、「Xと別れるのかと思うと辛かった」となるのだからたまらない(笑 笹沢佐保の面白さは、これほどのド助平女でも嫌味に感じさせない筆力にある。主人公の性欲の強さに苦笑いしながらも、どこかしら可愛く感じてしまう。これは他の笹沢作品でも同じだ。
面白いことは間違いないが、三十年前の小説だ。古さは否めない。さらに二時間ドラマっぽい終わり方もいささか・・・ それで★を一つ減らした。
半兵衛の一生を余すところ無く書いた大傑作と思います。作者は多作の割にこの手の戦国モノは案外と数が少ないのですが、その殆どが傑作と思います。その中でも本作は笹沢左保の白眉といっていいのではないでしょうか。
まず、本格ミステリとしてみた場合、
なんと言っても「二重誘拐」という設定に興味を引かれる。
誘拐した子供がさらに掠われるのだ。
解説にもあるように、誘拐するのが分かれた元妻で、
掠うのは実の娘、という設定に代表されるような
人物・心理描写はやはり巧いし、引き込まれる。
ミステリとして見ると、掠った子供を尾行できるのか、
さらに監禁された子供を掠う手順などに穴が多いような気がするのだが、
人間ドラマをメインとしたサスペンスとして見れば充分な面白さは確保されている。
二重誘拐ものでは貫井徳郎の『長く孤独な誘拐』と
読み比べるのも面白いだろう。
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