本書は、明治初年から太平洋戦争に至るまでの、わが国が経験した幾つかの戦争を取り上げ、それら相互間の連関等にも注目しながら、「戦争に踏み出す瞬間を支える論理」とは何か、そしてその論理は如何にして形成されるに至ったかを考えるものです。その背景となる著者の問題意識は、戦争形態の変化をも視野に入れた上で責任の所在や再発防止を考えていくためには、個々の事例の研究だけでなく、人々が主体的に戦争に向き合うに至る思考過程や、歴史の流れの中での論理の変遷に注目する必要があるということのようです。
こうした著者の意図がどの程度成功しているのか、門外漢の小生にはよく分かりませんが、自由民権運動における国防論的契機や、朝鮮独立と我が国の安全との連関に関する当時の相場観、第一次大戦後にも日本陸海軍において短期戦論が幅を利かせた背景、そして満州事変後の我が国世論における国際法的善悪二分論など、事実関係だけを追っていてはなかなか見えてきにくい点がビビッドに提示されていると思います。
また、本書における柔らか味のある口語体の語り口は、お嫌いな方もおられるようですが、小生的にはたいへん読み易く感じられ、好感がもてました。
絵画、彫刻を中心とした20世紀の西洋美術の流れがぎっしり詰まっています。
パラパラっと中身を見ると読みやすそうですが、実際読んでみると内容を理解しながら読み進めるのは結構大変なように思えます。というのも20世紀美術は「〜主義」「〜アート」「〜イズム」といった美術界の動きが多数あるのですが、それらに関する記述が簡素に要約されていて、美術の初心者にはイメージしづらいからです。
ただ、非常に広範囲の内容をここまでまとめ上げているのはすごいと思います。近代・現代美術に興味があってよく美術館や展覧会に行くような人にとっては重宝するのではないかと思います。
レンタル版では見られないというのが売りの特典映像「公開初日舞台挨拶」だけど、 とにかく解像度が絶望的に低くてビックリした。まさに“VHSの3倍録画を数十回も 再生して劣化した画像”みたいなボロボロの画面だ。 最初からBDの特典として収録するつもりでカメラをまわしているのなら、 今時のHD画質のテレビで再生に耐えうるようなソースで 撮影しておくべきだったのでは? セル版の目玉がSD画質で収録とは寂しすぎる。
数々のインタビューを見ると、低予算とキツいスケジュールに難儀した映画らしいが、 ロケーションの美しさも際立っていて、映画としての体裁は保っていると思う。 次第に不倫の深みに嵌ってしまう主人公の津田寛治や、ミステリアスなヒロイン役の 嘉門洋子は好演。嘉門は黒々とした茂みも披露する頑張りだ。 感情の起伏が大きく出ないキャラクターのせいか、嘉門洋子の演技を評価しない声も あるようだけけど、ああいう淡々とした女だからこそ官能シーンでのギャップが 良いのだと思うなぁ。 メイキング類も全くなく、映像特典が物足りないけど、 難病で家族や恋人と死別するような異口同音の泣かせ邦画が多い昨今、 こういうエロス・ノワール作品は貴重なジャンルなので頑張って欲しいです。
「本当にあった笑える話」「こっこクラブ」で好評だった「ふたこぶげんちゃん」を改題されて秋田書店から発売されます。 現代先生の娘さん、お姉ちゃん:あや坊、妹ちゃん:あおちんの成長記録です。 肩の張らない現代洋子先生の子育て日記を、私はいつも楽しく拝読していました。
私の好きな回はP61の#25:「初めての海水浴」です。 夏休み、現代一家が泊まった民宿の飼い犬ボクサー犬「レディ」とあおちんの心の交流のエピソードが大好きです。
この一冊が単行本として世に出る事は大変に嬉しいです。 笑い有り、涙有り、そして感動有りの楽しいエッセイ漫画を皆さんも、ご一読されては如何でしょう?
歴史って、単に過去の事実として覚えていることが多いじゃないですか。でも、なぜ普通選挙が行われたのか、どうやって不平等条約を解消したのか、ということになると授業では教えてくれない。 でも、その時代を生きていた人は知っているわけで、 自分がその時代を生きているような感覚で、リアリティを持って時代を体験できる、そんな本でした。 日本が戦争に突き進んでしまった原因は、議会制民主主義の機能不全、国の意思決定メカニズムの不調で、その遠因は国民の公の意識の低さ。日本で普通選挙による政党政治はまだ無理だったのではないかと思います。 当時の政治の状況、今の日本と本当に良く似ています。
|