どちらかというと難関私立向けのつくりになっています。
重要事項が結構抜けているので、問題集との併用は難しいと思います。
青木世界史の専用問題集を併用していくことをオススメします。
筆者手書きの地図はわかりやすいようですが、いまいち正確ではありません。
教科書に準拠しているわけでもないので、使っていくには教科書にもあわせておく必要があります。
わかりやすいのは確かなので、この本が合う方はこのまま進めていくことをオススメします。
教科書に準拠したものがいいのなら世界史ナビゲーターを使用することをオススメします。
世界史は完全な暗記科目なので、繰り返しが大事です。どんな名著を読んでいてもこれを肝に命じて勉強を進めていきましょう。
おいしく食べることのしあわせを、伝えてくれます。
季節のはしりのものはその若さを楽しみ、季節の終わりごろのものは手をかけて、
その食材の一番を引き出すことが料る(リョウる=料理する)ことなのだ
と、静かに話しかけられている感じがします。
そして食材にだけでなく、その人が疲れているのかゆっくりした休日の夜なのか、
食べる人の状態にも気を配って、最上のものを引き出そうと努力する。
台所に立つことは、そんなにも気高く難しくそして仕合せなことだったのか、と
心を打たれました。
満腹になれればいいと手近で無神経にすませがちだった日常の食事を恥ずかしく振り返り、
今後に少しでも生かせたら、と思いました。
本の中盤にある『私のメニュウ』は、幸田文さんの朝夕の献立があげられており、
眺めているだけで季節の美しい家庭の食卓が見えてきます。
エッセイの末尾に、一篇の小説が掲載されています。
小説『台所のおと』は、本書のそれまでの全てが映りこんでいて、その流れに乗ってこの小説を読めたことに感謝しました。
幸田文が好きな人にも、初めて幸田文の作品に触れる人にも。
幸田文 台所帖
青木玉の九つの対談集になっています。 内容は、幸田一族の話、幸田家の生活、躾の話等で、すべて幸田露伴、幸田文、青木玉の三代に渡る著作の背景にかかわる話です。
この本を読んでいると、幸田一族の凄さが解りますし、そこにおける露伴の位置づけなどが解り、興味深いものがあります。 それと同時に、そうした家族環境の中での娘文、孫娘玉と露伴の関係も、かなり見えてきます。
それにつけても、幸田文と言う人の「強さ」を感じずにはいられません。 厳しい露伴の教え、弱い夫との離別、病弱の玉。 押し並べて、すべての面倒みが文のところにあったようです。 病気を押して、露伴のわがままを聞いて、伊豆まで伊勢海老を求めに行くところなど、「強さ」以上のものを感じます。 それがあるからこそ、44歳になって著述を始め、しかもあれだけの作品を残すことが出来たのでしょう。
この本を読んで、改めて幸田文の著作をすべて読みなおしたくなりました。 きっと、最初読んだ時とは違って、深いところまで読み込めるような気がします。
青木玉氏は幸田文氏の娘です。ということは幸田露伴氏の孫にあたる。 昭和十三年五月、幸田姓にもどった母・文が、九歳になった著者・玉をつれて小石川の幸田露伴の家に転居してから、祖父・露伴が没した昭和二十二年、そして母・文が亡くなる平成二年までのあいだの幸田家の生活、想い出を随筆に著している。 祖父への尊敬と畏怖、それを九歳のころの青木玉氏は母・文さんの露伴氏に対する献身ぶりから感じ取る。日常の全てにおいて家族に対し教養と高尚さをもって生きることを科し、安直な卑俗性を憎んだ露伴は、幼い孫にさえ思慮深くきちんといきることを求める。母・文もそのような露伴の意に沿って娘を厳しく躾ける。このような躾のあり方には、賛否両論あると思います。 しかし、子に対する厳しい躾はその裏腹のこととして躾ける側の責任と覚悟があります。つまり、子を厳しく躾けるからには自分がそれを出来ていなければならない。そして、躾けた当事者として、子の行く末に責任をとるということ。この本に書かれた露伴の振るまいは現代のおおかたの基準に照らして、ものすごく我が儘です。しかし、それをするからにはその責めを一身に引き受け、家族の生活、行く末までも責任をとるという強い覚悟があるはず。 「あなたにはあなたの人生があるから・・・」などという逃げをうたない姿勢、それを感じるからこそ娘も孫も従う。ここに現代に生きる私たちが忘れかけている生き方があります。 その忘れかけている生き方とは、たとえば「長幼の序」であり「凛と背筋を伸ばした生き方」です。この本を読み一昔前の凛とした生き方に触れるにつれ、私たちが失いつつある「気高さ」という価値観が呼び覚まされます。 読み終えてなんと清々しくなることか。 本の装丁も良いです。安野光雅氏の水彩画がすばらしい。
著者 青木玉の母は幸田文、祖父は幸田露伴。 二人の遺した着物とそれにまつわる思い出話を綴った本です。 文庫本だけれど美しい写真が多く、着物を見せてもらいながら話を聞いているような贅沢な気分が味わえます。写真が多く着物用語の簡単な説明もあるので着物を知らない人でもわかります。幸田文の読者で着物に詳しい人ならすごく楽しめるのは確かです。 思い出の中の幸田文は、やんちゃな所のあるお母さんかな。 幸田文の小説のイメージから縞柄、格子柄はぴったりという気がするのですが、無地の綸子や優しい植物柄の刺繍の加賀紋には正直少し意外な感じがしました。あと江戸小紋が出てこないのも。 30代の頃の日本刺繍の作品(花柄の半襟)、綺麗で必見です。 そして彼女の友禅のお布団。着物ではあまり着ることのなかったという花柄。こんな素敵な布地の夜具を楽しんでいたなんて、とてもオシャレでゴージャス!です。 本を開くと着物や生活の様々な思い出話を通じて、著者と母そして周りにあった密度の濃いしっとりとした時間がこちらにも流れてきそうな感じがします。 着物、夜具、晩年の出来事などを、ここまで書けるのは長年身近で過ごして来た女性の家族だから。 幸田文に著者のような家族が居らして、読者の一人として幸せを感じます。
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