「鈴蘭屋敷のもう1匹のワンコ・杉浦がお嬢様の母性愛をくすぐります」、と言わんばかりに可愛らしい仕草を見せてくれる作品になっています。 一人で賑やかな彼が半ベソかいたり、ドギマギしたり。 ドキッとするようなシーンはないものの、終始微笑ましい感覚で聴くことが出来ました。
余談ですがジャケット内側のポージングは巻を追うごとに際どさを増しているような気がします(笑)。
ベントンとスカーペッタの愛はどうなるのかっ! スカーペッタの仕事人生仕切り直しはどうなるのかっ! とワクワクして頁を繰る毎に、重たい気分でいっぱいになった。 P.コーンウェルの著作で、徹夜して読みたい気持ちが萎えたのはサザンクロスと真相 くらいだったのに、本作は更に読むのが苦痛に感じられて堪らなかった。
人生なんて、楽しいことやロマンスやスリルばかりで出来上がってはいないのだからと、 泥臭い人間ドラマを描きたいのかしら?みんな年をとってスピード感が減退しても仕方ない のかしら?などと好意的に解釈しながら何とか読了。
ほぼ平行して読んでいるサイコパス関連の文献が影響しているのか…登場人物にやけに 腹が立って仕方がない上巻だった。
と、作者のフランツ・カフカ自身語っている『変身』。
物語のあらすじはあまりに有名で、また既に多数の方が書かれているので割愛させて頂く。
ある日突然、自分がまったく知らぬ何かになってしまう恐怖。
そして、そのことを他の人間すべてに看破されてしまう戦慄。
作中グレーゴルの感情がどんどん最初の性格からかけ離れてしまっていっているように、私には感じられた。
自分でもコントロールできない方向に自身がある日突然変わる事への恐怖、とも言えるかもしれない。これは変身願望の一方で誰しもが抱える不安ではないか。(心理的・身体的ともに)
不条理の中にこそ、リアルな深層心理が表現できるのではないかとさえ感じてしまえる作品。
お嬢様をエスコートするフットマン・紫堂の青春の1ページ(笑)。
色々な意味で「若い頃」の龍哉坊っちゃまを見ることが出来ます。 回想シーンということで声優さんも演じ分けをされていて、普段の紫堂とは違う声音。カワイイです! しかし大人な紫堂も負けてはおらず、「Bed Time Talking」でめいっぱい甘い台詞を聞かせてくれますので、ゲーム本編ファンのお嬢様もご安心を。
キャラクターソングはダンスミュージック調で格好いいです! ただ、ブックレットに明らかな歌詞間違いが複数箇所あり、「あれっ?」となりました。
紫堂はもちろんのこと、右京も光っていたので両キャラ好きには1粒で2度おいしい仕上がり。買って損はないと思います。
仏語圏で最も読まれている村上春樹の著作。
この本は、仏語で読んでも日本語版の雰囲気を残しながら上手く仏語に翻訳されている。例えば、森鴎外の「舞姫」のような作品を仏語に翻訳したら、原文の美しさが損なわれてしまうと思うが、この本を読んでいる最中、違和感がほとんど感じられなかった。翻訳者の力に拠るところもあるとは思うが、外国語に訳されても、その世界観が失われないように村上春樹が意識していたのではないかと思う。(彼は、以前なにかの本で、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」のような本を書きたい、との旨を述べていたが、その実験作が海辺のカフカなのではないだろうか。)
この本を読んだことがある人ならばご存知かと思うが、作中、とにかく西洋の文学のネタがちりばめられている。オイディプス王、ハムレット、ドストエフスキーetc。そのせいか、この本の作家が日本人であることを忘れてしまうほどである。
私は、春樹の作品では「ノルウェイの森」と「風の歌を聴け」が好きなのだが、 仏語で「海辺のカフカ」を読んでみて、この作品が好きになった。日本語で読むよりも、むしろ英語や仏語で読んだほうが魅力の伝わってくる作品なのかもしれない。
村上春樹の作品は、平易な日本語で書かれているため、この訳書もそれを踏襲しており、非常に読み易い。レベル的には、カミュの「異邦人」を読めるレベルがあれば、問題ないかと思う。お勧めの作品。
蛇足:日本で人気のある「ノルウェイの森」、「風の歌を聴け」、 「ダンスダンスダンス」といった初期作は、仏語圏では、あまり人気がない。本屋に行っても置いていないくらいなので。日本の学生生活や恋愛観に対して知識がないため、共感を得ることができないためでしょう。
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