M1は67年3月7日、M2は66年2月22日、M3,4は「インターステラー・スペース」と同日の67年2月22日の録音。アルバム・リリースは78年だが、生前未発表録音の曲だけで構成されたというのが信じられない、完成度の高い作品。
M2はファラオ・サンダースを含む多人数の演奏だが、ファラオの影は薄く、平和と愛を求めたコルトレーンらしい美しい曲。この曲唯一のスタジオ録音が聴けるだけで本作は貴重だ。
そして、67年録音の曲にはコルトレーンが目指していた音楽の将来像がうかがえる。即ち、ファラオぬきので、アリス・コルトレーン、ジミー・ギャリソン、ラシッド・アリという小編成のバックがコルトレーンのブローを支えるという構図。それも4ビートのリズムを刻むのではなく、ヴァイブレーションをコルトレーンに送り込むような。そういう意味で、アリスとアリの存在感が際立つ作品だ。
特にM3、4はインターステラー・スペース所収の曲・演奏と同じくコルトレーンとアリだけの対話。コルトレーン自身、病を自覚していたと思うが、ドラムとのデュオという最小限のユニットで、どれだけ自己の音楽が飛翔できるか試すかのようにサックスを吹きまくるコルトレーンのエネルギーが感動的だ。
一曲目はセシルマクビーの美しいベースに導かれる曲。 ファラオがサックスを吹かず、ヴォーカルで参戦。 後半線はスローダウンしバラードを演奏します。 とても気持ちいいですよ。 二曲目はコルトレーン師にささげる愛。 おもいっきりフリーですね。時々でてくる美しい音色に感動させられます。 freejazzでコルトレーン師にささげる曲は多数あれど、 なかなか激しい演奏です。 他のコルトレーン賛歌の勧めは アーチーシェップの絶句一曲44分。
初めて聞いたPhroah SandersのCDですが、うなるほどかっこよかったです。でもきっかけは某ミュージックストアで聞いた#1のピアノのソロパートが本当にエモーショナルで素晴らしくしばらく立ち止まって聞き入ってしまったほどです。そてしNow Playing見たらこのCDだったのでした。 あまりに良かったのでどうしても何か一言言いたくここに書いています。 #1は出だしのブロウサックスからとてもかっこよくその後サックスもピアノも力強く圧倒的でとても熱いものの伝わってくるエモーショナルでライブならではのソロパートありで見事に迫力ある聞き応えのある1曲でした。アルバム全部聞いた後でもベストトラックでした。あと#3#5もすごく良かった。 Phroah Sandersが曲中各演奏者の紹介をする箇所がいくつかありそれがまたとても音楽的でパワフルでかっこよく(特にピアノの人へのリピート紹介は気合感じた)気に入りのパートでこれもライブアルバムならではのアルバムの魅力かなと思いました。 とても熱くて強くて・・とにかく良かったです!
現時点で所在がわかっているコルトレーン最後のライヴ音源。演奏日時・場所は67年4月23日午後4時、NYハーレムのオラトゥンジ・アフリカ文化センター。
オラトゥンジ文化センターとはナイジェリアのミュージシャンであるババトゥンデ・オラトゥンジの名にちなみ、アフリカの文化を後世に伝える場として創設された。完璧な録音ができる場所ではない。外の車のクラクションが聞こえるほどだ。そこにポータブル・レコーダーを持ち込んで、「記録」のために録音され、アルバム化まで35年もお蔵入りしていたテープ。したがって、録音状態は良くない。
残り少なくなった命がしぼりだす、凶暴なまでの、魂の咆哮という表現がぴったりの爆音ライヴ。ロックに例えるなら、キング・クリムゾンのアースバウンドのようだ、と言えば理解してもらえる人が多いのではないだろうか。録音の悪さが却ってコルトレーンの演奏の芯を際立たせる逆説。がんに侵され、3ヶ月後に他界する人が出すエネルギーとはとても思えない。
マイ・フェイヴァリット・シングスは原形をほとんど留めないが、コルトレーンが繰り返し演奏した曲が遺された最後のライヴ録音となったのも奇遇。突然終わる録音が、却って余韻を残す。
98年以来の再発。本エディションの特徴はコルトレーンの肉声が聴ける来日時のインタヴュー(私は聖者になりたい、という有名な発言を含む)がCD5として追加されたこと、SHM−CD化、藤岡靖洋氏によるインタヴュー音源の日本語訳全文(CD5に未収録の部分もある)と「怒涛の17日間 全行程」等の資料が充実したことだ。
CD1、2が66年7月11日、CD3、4が同22日の東京でのステージ。どちらも放送用として録音された。将来レコード・CD化されることを意識せず、各人がソロを存分に展開し、1曲の長尺化という後期コルトレーンのライヴの特徴を余すところなく示している。CD1〜4で全6曲、247分の演奏に正対するには、聴く者の体力・精神力の充実も要求される。しかし、熱心に耳を傾ければ、必ず応えてくれる素晴らしい演奏だ。特に、CD1、3のピース・オン・アースの全身を包んでくれるかのようなスケールの大きさが圧巻。
フリー・ジャズ期の作品だが、聴き難い部分は多くない。少なくともオラトゥンジ・コンサートやオムより聴きやすい。
モノ録音だが、66年の放送用録音であることを考えると、個々の楽器の音の分離・バランスは良い。ファラオが鳴らすタンバリンの音も聴き分けられるし、アリスの浮遊感溢れるピアノもよく聴こえる。
CD4では、コルトレーンがソプラノでなくアルト・サックスを吹いているのも要注目。
早すぎた死の1年前にコルトレーンが命を削るかのように強行軍で日本にしるした偉大な足跡。これは、日本のジャズマン&ファンに測り知れない影響を与え、今も与え続ける歴史的記録だ。
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