さすが!世界の北野武である。
最近でこそ、マスコミの報道に対してあまりの足並みのそろい方を揶揄する、
「大本学発表〜」という言葉を使う向きもあるが、原発事故以前に、
日本の言論統制の実態について鋭く言及している。
その他、全ての項の鋭さと、又、洞察力の大元が日常国民全員が誰でも
目にし、耳にし、体験している事柄から導き出しているところが痛く、
この方の偉大性を示すものと思う。
これを読めば、きっと世の中の見方、捉えかたが正直で自由になると思った。
北野武が、世界的に評価される一端がわかる本と感じた。
評伝ではなく事実の素描であり年譜に近いが、類書とは比較にならないくらい三島の足跡がたどれる。
ひとつひとつの事項に解説を加えれば、おそらく10倍はページを必要とするだろう。
人名索引が付されているのも、非常にありがたい。
ファン・研究者は必読必携である。
オススメ度 ☆☆☆☆☆ 5つ。
同著者の『三島由紀夫「日録」』と併読すれば完璧に近く三島の行動の軌跡がうかがえる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 安藤武 『三島由紀夫の生涯』 A5判、上製、350ページ、カバー、帯 夏目書房 1998/9/10
【内容】 目次/3 プロローグ/4 第一章 黄金の王国(誕生より終戦)/5〜97 第二章 美神の宇宙(戦後より29歳)/99〜162 第三章 薔薇の痙攣(30歳より39歳)/163〜231 第四章 憂国の黙契(40歳より自決)/233〜331 『もう一つの切腹』/332〜335 エピローグ/336〜337 あとがきとして/338〜340 参考文献/341 三島由紀夫その周辺の人々(索引)/342〜350(後1〜9)
〔章扉写真〕 第一章 公威(三島)が通学した学習院初等科校舎(昭和13年改築)/5 第二章 『假面の告白』が執筆された渋谷大山町の家/99 第三章 『潮騒』『金閣寺』を執筆した頃の目黒区緑ケ丘の家/163 第四章 『鏡子の家』『豊饒の海』まで執筆された大田区南馬込の三島邸/233
時々、田舎にある亡き母が買った古寺巡礼を見たくなります。とにかく立派な装丁で母は桐の箱を別注したが、その価値のある名品です。
それを持ってくるわけにもいかないので、小型の写真集をちらちら見ていたのですが、一般庶民には高額ですが買って大満足です。「風貌」からピックアップされたものには、これまで見たことがなかったカットもありました。
土門拳は表面ではなく、被写体の真相を写すことができる稀有の写真家だと改めて実感しました。鶴岡の写真館にも行きたいが懐具合が・・・。
必携・必読の超1級リファレンス資料である。
文字通り、三島由紀夫の生涯を克明な「日付」によって追っているのだが、その作業を想像すると絶句するしかない。
1996年までだが、没後についての事項も含まれており参考になる。
本書を示さない研究者は5流以下の論外である。
『決定版 三島由紀夫全集』掲載の各種書誌よりもこちらの方が、資料としても読み物としても断然良いと思う。
オススメ度は当然 ☆☆☆☆☆ 5つ。
同著者の 『三島由紀夫全文献目録』 『三島由紀夫の生涯』 とともに、本書は三島由紀夫研究には不可欠である。
・・・・・・・・・・・・ 『三島由紀夫「日録」』 著者・安藤武 A5判・上製・帯付・478P 発行・未知谷 1996/4/25
【内容】 三島由紀夫「日録」目次 凡例 生誕以前/7 誕生後(1925.1.14〜1945.8.15)/14 戦後(1945.8.19〜1970.11.25)/82 没後(1970.11.26〜1996.2)/423 三島色紙影印/465 引用文献/466 あとがき/467〜468 三島由紀夫研究文献目録・抄/469〜478
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【帯・表】 「ペルソナ三島由紀夫伝」を書くにあたって多数の研究本をチェックしてみたが、群を抜いていたのが安藤武氏が蒐集した「日録」であった。処士研究者としての安麟氏の知られざる業績は、大学教授や文芸評論家をはるかに凌いでいる。しかも「日録」は無味乾燥な研究書とは異なり、天才作家の誕生から自決までの息遣いまで伝わってくるのである。 猪瀬直樹
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【帯・背】 生誕以前から 没後を含む 全生涯!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【帯・裏・左】 ――読めば解る読者への質問――
祖父は政治家、父は大蔵官僚に何故なれなかった? 「假名手本忠臣蔵」松洛から三島への血脈は? 学習院高等科文化会の演劇脚本は何? 三島由紀夫の気質に一番あった作品は何? 子育てにお婆ちゃんが介入すると……? 三島が筋肉マンになる機会となった週刊誌は何? 居合抜で刀を鴨居に当てた、その目撃者は誰? 「鏡子の家」「憂國」〈切腹〉を結ぶ糸は? 三島にとって〈20〉という数の持つ意味は? 映画「潮騒」の主演女優は山口百恵の外何人?
【帯・裏・右】 古書価50万以上、何冊お持ち?
『岬にての物語』初版本 『盗賊』初版本(帯付) 『魔群の通過』初版本(帯付) 『金閣寺』限定・家蔵本 『ブリタニュキス』初版本(帯付) 『黒蜥蜴』限定本(異装三部) 『春の雪』試刷本(帯・函付) 『鍵のかかる家』超特装五部本
著者の文学作品の読み方は、内容ではなく前提に眼が向いている。(書いた人にしてみれば不本意かもしれない。そうやって読んでほしくて書いたわけではないだろう) 前提というのは作品を書いた人の価値観で、価値観はその人の生きている社会に拘束される。この本で扱われている作家は、それを無意識にまとう人、そこから先へ進もうとする人、視点だけ先へいったが身体がついていかない人と様々だ。どんなタイプにしろ、作家なんて社会の中では炭坑のカナリヤみたいなものだ。だから養老氏の批判は作家個人ではなく、その作家の価値観を生んだ社会のほうへむかう。このひと自身もカナリヤだ。鳴いているうちはまだ大丈夫(問題は多いが)な気がする。長生きしていろいろ書いて下さい。
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