看護師不足によるマクロ的な影響から問題を提起し、実態のルポに入っていくと吸い込まれるように一気に読了してしまった。最後には、苦境のなかでも看護師が働きやすくするための努力をする病院の事例や現場の声が紹介され、解決の糸口も示されている。何より、現場の第一線で働く看護師からの訴えに説得力があった。筆者のいわんとすることが、各所で繰り返し強調されているため、長い文章でも問題を忘れずにいられ、分かりやすい。1冊の本の全てが看護の問題で中身が濃い。この本を読んだなら、早急に制度設計を立て直さないと医療が完全に崩壊する危機を感じないではいられないだろう。途中で出てくる看護師のやりがい、エピソードには感動し、勇気づけられた。弱っている患者に優しくいられる看護師の環境整備が必要なのではないかと痛感する良書である。
前のレビューを見て気になったのが、ジャーナリスト個人をわざわざ攻撃するような記述が、なにか個人的な恨みでもあるかのような印象だ。そもそもジャーナリスト1人、本1冊で世の中が変わるわけがない。それを読んだ一般の私たちが動かなければいけない。そのレビューにある、病床数が多すぎるという理屈を『看護師の熟練形成 看護技術の向上を阻むものは何か』 を例にしているが、病床数を比べるものではないと『看護崩壊』には、海外と日本の病床の定義が違うから単純比較できないと、その根拠について、きちんと書かれている。『看護師の熟練形成 看護技術の向上を阻むものは何か』 のほうが見方が誤っているのではないだろうか。看護難民が出て、「早く死ぬ方法を教えて」と訪問看護で高齢者が嘆いてくるような社会で、病床が多すぎるのいうのは現実的ではない。正義感あふれる若いジャーナリストを応援したい。
介護支援専門員の資格をとってから、購読しているのが中央法規から出版されている月刊誌「ケアマネジャー」です。
介護保険や介護支援専門員に関する月刊誌はいくつかあるけれども、実務的な対人援助という点でいろいろ考えさせられる事例や各地の介護支援専門員の生の声が聞けるという点が気に入りました。「自分にあっているなー」と思ったので購読することにしたのです。
ちなみに編集協力者として奥川幸子・金井一薫・白澤政和・竹内孝仁・橋本泰子といった大先生方が名を連ねているのも特徴です。その他にも河野聖夫・団士郎・竹中星郎・渡部律子先生も執筆されています。
2009.1月号の特集は「精神疾患の基礎知識」「ケアマネージャーのストレスとバーンアウト(燃えつき)」です。特に精神疾患の基礎知識は疾患と障害の振幅がある精神障害について触れ、さらに制度的なことも開設されています。介護支援専門員にとって今日では精神障害への理解と支援のあり方が非常に重要になっているのでとても勉強になります。
また、連載も豊富で「老いのパンセ」「紡ぐ物語−ケアマネジャーにできること」「団さんと家族を学ぼう」「予後予測に活かすケアマネジャーの医療知識」「誌上ケース検討会」「ヒットエンドランな面接21」など自分の対人援助技術を高める上で非常に役立っています。“自分の携わった現実的な支援”を“振り返りながら”本書を読めるのが自分にとってよかったと思います。
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