感想は巻末の加門先生の解説に尽きますが、作者の視線は限りなく優しい。何に対して優しいのかは、視る能力の無い者が云々するのもなんなのであるけれども、
怪談の大御所であられます稲川大明神ですら、昨今ではスプラッター系に走りがち?なのに、この作者の視線は“優しい”と思います。
加門先生の解説から引用させて頂きますが「実話怪談を出す場合、作者によっては、お祓いをしたり、本に護符を記したりする。その例に倣って、担当編集者さんが
彼女に意向を尋ねたところ、三巳華さんは“いらない”と言ったのだという。理由は『おわりに』にあるとおりだ。」
基本的に怪談実話系 4―書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫 ダ・ヴィンチ ゆ 1-4)とか伊藤三巳華の漫画で、 お馴染みの岩井志麻子の各雑誌媒体に連載したモノの総集編なので、 ズバリ!!とても読みづらかったです(笑)。
これは…面倒でも全話時系列を整理して書き下ろしにして欲しかったなぁ。 なんか話がブツ切りなので(?)文章のテンポも悪く イマイチ最終章まで興味深く読めなかったのが正直な感想。
なおかつ心霊的な物語とゾクリとくるモノを期待した自分には肩すかしな 彼女への愛を綴った物語にはガッカリ感が…(笑) これは…断片的に彼女の情報を読み取っていた頃の方が 色々と恐怖と興味を感じられたのに残念。肩すかしでした。
嫌な女の話…ちょっとグロい話…ゾッとする話…等々、様々なネタが満載です。
一つのネタを主観的に書いたり客観的に書いたり
色々なパターンで読ませてくれるので飽きる事なく読み通せると思います。
怪談と言うよりは志麻子さんが聞かせる面白い話と言った趣ですが、ネタが多種多彩なので多くの人が楽しめると思います。
岩井さんの「ぼっけえ、きょうてえ」「夜啼きの森」が好きすぎるんで… あのじっとりと貧しくて田舎で夢も希望も無くて出て来る人間はろくでなしばかりで毎日生活していくのに精一杯でエロでもやんなきゃやってられねえよなあ、っていう世界にぐったりやられたんで…。 (それでも異様に美しい世界だった)
同じような作品を期待してたんでちょっと残念でした。 今回その辺の社会や生活描写はあっさり略されてます。 しかしまあ「そんな暗い作品読みたくねえよ、ただ怪談が読みたいんだよ」って方にはオススメかも。 湯女が語る怖い話の数々、って体裁の作品です。
長谷川京子という女優を発見した、といえる作品だと思います。2人の女性が生き生きと描かれ、背景となっている大正時代はとても雰囲気があって優雅です。短い製作期間でも現存する建物を使ってリアリティを追求したという監督の意気込みが感じられる作品となっています。原作の岩井氏もちょこっと出演していてご愛嬌。
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