杉真理・松尾清憲らの90年代の活動の軸となったPiccadilly Circusのファーストアルバムのリイシュー。 このグループのすごいところは、いずれ劣らぬジャパニーズ・ポップスのマエストロたちが集結していることだ。杉真理、伊豆田洋之、橋本哲、松尾清憲、風祭東、上田雅利。名前を挙げただけで、どれだけすごい音楽が流れてくるか、容易に想像できる。 しかし、本盤はその想像を軽く上回り、極めて素晴らしい内容の極上ポップスを作り出している。しかも各人が少なからずビートルズの影響を受けていることで、バラエティに富む中でも一本芯が入っている。 どれだけクオリティが高いかは、杉さんの盟友である竹内まりやさんがシングル「スロー・ラブ」のカップリングとして、このアルバムの収録曲「Never Cry Butterfly」をカバーしたことでも証明されている(それは、つまり彼女のベストパートナーであり、同時にプロデューサーでもある山下達郎氏も認めたということだ)。まりやさんは「自分が男だったら、ピカデリーに参加していた。」とも述べている。玄人まで夢中にしてしまう魔法の音楽集団Picadilly Circus。音楽の魔法に幻惑される価値あり、です。
実際、今回Denimという名の曲はありません。最後の曲「人生の扉」にたった一節
「君のデニムの青が 褪せていくほど味わい増すように 長い旅路の果てに 輝く何かが誰にでもあるさ」
とあるだけなのですが、聞き込んでいくとこの一節が実に味わい深いものとなってきます。そう思ってよくこのアルバムに収録された曲たちを眺めなおしてみると、若い頃の何も怖いものなどないという時代の甘い甘い恋や哀しい結末を迎えた恋(でもこれはまだ人生の前半)の曲、少し熟していろいろ人生が判ってきた頃の大人の恋や、恋愛感情ばかりでない、人生の大切なパートナーを得たうれしさを表した曲、人生の後半、愛する人に先立たれた悲しみを歌った曲・・・つまり人生のいろんな場面を切り取った曲が連なっているのです。
そしてそのライナーノーツを見るとまさに書いてあるのです、「人生はまるでデニムのようだと、私は思う」と。
「歴史とともに素敵に色褪せたその青には、若き日のあのインディゴにはなかった深い味わいが生まれているはずだ」。今年ですでに52歳を迎えた竹内まりやさんならではの言葉だなぁと改めて思うとともに、数歳年下ではありますが、まさに私自身もそういう年齢になって同じことを痛感したからこそ、このアルバムが手放せなくなってしまったのだろうと思います。
「人生の扉」には
「満開の桜や色づく山の紅葉を この先いったい何度見ることになるのだろう」
というフレーズもあります。多分90歳越えるまで生きるよと歌詞の中で宣言している彼女が一方ではこういう気持ちになっていることもまたこの歳になればよくわかるんですよね。同世代の皆さん、きっと感動を覚えます。ぜひご一聴をお勧めします・・・
竹内まりやらしさが前面に押し出されている佳曲。
確かに目新しさはない。
しかし、安心して、なおかつ、落ち着いて聴ける曲です。
これぞ竹内まりやの王道ソングです。
カップリングのNever Cry Butterfly のほうが自分的には好みです。
マイナーな曲調のほうが声に合っているような気がするんだよな〜。
ソロデビュー作から怒涛のように良作を作り出してきたSONY最後の作品。まだまだ余力はあった筈だか、時代の流れだったのか、この後長いブランクに入りました。復活後の作品が私の中では今ひとつだったので悔やまれるところです。「さよならFunny Face」は数ある作品の中でもトップクラスの名曲です。また、あの頃の輝きを取り戻して欲しいものです。
ピカデリーの1stを聴いた時も驚いたが、本作を聴いてさらに驚いた。「し、進化してる!?」まっさかこんな素晴らしい音楽を21世紀に聴けるとはおもわなんだぜ!恐るべきクォリティの高さだ。しかも、凄いのは昔のロックをベースにしながらも、きちんと新しい時代の音楽になっている!うーん、何度でも聴いていたい。
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