黒沢さんの脱ぎっぷりがすごいという評判もあり、このジャケット写真もあって、ついスケベ満載のそういう映画なのかなと思って、下世話な好奇心で見てみたくなる映画です。 で、確かに、黒沢さんの脱ぎっぷりはすごいです。見事です。でも、それだけのことをするだけの価値が、この映画にはありました。ストーリーは、ありがちだとも言えると思います。秀逸な展開は無い。でも、一種のファンタジーとも言える作品として、素敵な作品に仕上がっていました。そう素敵な映画でした。 そして、とても演劇的な映画でもありました。 主人公の横にいる二人の脇役、三谷昇氏と、田鍋謙一郎さんが、ものすごくいいです。三谷さんはもう、その存在感はもちろんすごいのですが、彼の素晴らしく味わいのある演劇的で完璧なセリフを、この(申し訳ないけれど)無名の役者さんが、また完璧に受けてくれています。この一本で、彼の演技を、セリフを、もっともっと見てみたくなります。この二人の存在が、この映画を、一段も二段も味わいの深い作品に持ち上げています。 10年後に残る、後に評価が付いてくる映画を作ろうとかかったというこの作品。本当にいい作品でした。 そして、・・・黒沢さんが木とまぐわる場面。すごかった。本当に、「木」と彼女は魂が通じ合って交わっていた。世界中のどんな映画も、あんなに見事なシーンを撮ったことは無いと思う。何よりもこの場面を完璧に演出したのだろう監督に脱帽。それに見事に応えた黒沢さんに、脱帽。もう一度言っておこう。素敵な映画でした。いい作品でした。
当時の東條首相はじめ戦犯とされた国家の指導者たちの覚悟や愛国心を描いた映画だと思います。 また東京裁判とはどういうものなのかを自分で考えるヒントとなる映画でしょう。 日本人なら絶対に知っていなければいけない事であり、この映画を観れるべきだと思う。 戦争とは何か、なぜ起こるのか、外交で防ぐ事は出来るのかなど、考えさせられました。 公開当時は、上映中止のデモが起きたり、散々叩かれていたのを想い出します。 DVD化もやっとという感じです。 永久保存版です。
谷村新司の16枚目のオリジナル・アルバムです。 発表は1986年12月で、2005年にデジタルリマスターされたものを、更にSHM-CD化したものです。
1986年、この頃は、まだLPとCDが併売されていて、その特性上(収録容量など)、両者間では曲数と曲順に違いがあります。
再びダンディズム路線に戻ったように思えますが、このアルバムでは「男の哀愁」を唄い上げています。 詞の世界観のみならず、サウンド面でも随分イメージが変わりました。
これまでも、作曲家に依頼した曲を唄ったことはありましたが、せいぜいアルバム1枚あたり1〜2曲でした。 しかし、このアルバムでは全11曲中9曲が依頼楽曲(詞は全曲チンペイさん)です。 イメージが変わって当然ですね。 アレンジを馬飼野康二さんが9曲を担当していることも見逃せないところですね。 『再来』『幸福』 の2曲のみ、詞曲ともチンペイさんで、アレンジが服部克久さんといういつもの形です。
当時、「チンペイさんも作曲に関してはスランプなのか」と思ったりもしましたが、それはリフレッシュでありながら、新たな挑戦でもあったようです。 実は、アリス時代にもそういう時期がありました。 その時とは事情や背景が違いますが、共通の結果としては、そのあとに大きく飛躍している、というところです。 シンガー・ソングライターとしては避難される行動ととられがちですが、しっかりと次を見据えているところが凄いところだと思います。
日本の恋愛映画では、
一番好きです。
「これ恋愛映画じゃない」という方もいらっしゃるかもしれません。
本作に描かれた男女の愛(奥田×吉本、荻野目×北村)は、
タブーだったり軽蔑の対象になるような、
世間からは疎外される、
境界線を超えた愛です。
打算、駆け引き、嘘・・・。
悪にそまった男女が、
最後に選ぶのは、欲か愛か?
その愛のかたちに感動します。
本作は、やむにやまれぬ恋や愛の形を描いた傑作です。
ラストシーンにうるっとします。
奥田と吉本の演技は素晴らしいです。
これは素晴らしい恋愛映画です。
若い頃、奥田瑛二に憧れていた。 ああいうだらしない男が格好よく見えた。 本書は役者本としては、出色の出来ではないか。 奥田瑛二は役柄と本人の内面が通じ合う数少ない役者である。その背景を奥田が自らを語っているのだが、本書の肝は「だらしなく頼りない男」になるために彼は生きてきたという下りだ。 それは奥田にとって理想の生き方だという。 役者としても人間としても彼はマッチョやスタイリッシュな生き方を否定して、自然体をよしとしてきた。その自然体が「だらしなく頼りない男」というはちょっと・・・ではあるが(笑)。 「だらしなく頼りない男」の作法がきちんと生真面目に書かれており、巷の「俺本」とは明確に異なる。繊細なのだ。 ともかく女性にもてまくり、仕事にも没入した奥田瑛二の半生を読むことが出来る。 その語り口は奥田節というか、熱いのか醒めているかわからない、独特のリズム。役者としての矜持も感じられ、一読の価値有り。 かっこいい。
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