このCDが発売された当時、「無限の住人」はAT-Xでしか 放送されていなかったので、映像を見ずに、『大谷幸さんの音楽だから』 という理由だけで購入しました。
率直な感想は、『大谷幸さん、また何かやっているなぁ〜』という感じ。
枕草子の愛華さんの(雄叫び)のような(呻き声)のような 1曲目「諸行無常」から始まった時には、どうなるものかと思いました。
ようやく4曲目にして、ピアニスト大谷幸さんの 音を聴いた感じでした。
解説を読むと、 「自分の才能の新しい構築」これが、自分に課したテーマだ。 とあります。
その後、地上波放映で「無限の住人」を観た処、『カッコ良ければ何でもあり』の沙村広明の「ネオ時代劇」の世界観にピッタリ、音楽がハマっているのに感動しました。
新しい大谷幸さんの 才能の開花を 聴ける一枚です。
「無限の住人」という時代劇マンガのイメージアルバムらしいですが、私はそのマンガのことは全く知りません。それでも全く問題なく、人間椅子の普通のアルバムとして聞ける作品。イメージアルバムであってサントラとかではないので全曲歌詞もあります。むしろ、題材が時代劇マンガという縛りのおかげで普段のアルバム以上に和で統一された世界観、歌もいつも以上に日本的で演歌・民謡テイストが強い。
「晒し首」は処刑され台の上に並べられた生首の目線から描かれた詩。怨念に満ちていた晒し首、鼻が溶け目玉が落下し、鼻の穴や目の穴に蜘蛛やコオロギが住み着いたり、自分の頭の上に登ったカマキリと月を眺めたりするうちに、いつの間にか平穏な心になり、土に返る頃にはある種の無我の境地に到ったかのような感覚。こんなすごい詩と曲を作れるのは人間椅子くらいだろう。「無限の住人」は前半の日本的な郷愁と開放感あるメロディーが素晴らしい。後半は三味線風ハードロックと浪曲・謡曲風のあまりに日本的な歌メロという強烈な組み合わせがカッコよすぎ!「地獄」はストレートでノリが良い。最後の演奏の盛り上がり方が非常にドラマチック、特にギターソロにしびれる!「蛮カラ一代記」は酔っ払ったオッサンが歌ってそうな雰囲気。「莫迦酔狂ひ」は酒の歌。中間部の展開がスリリング。「もっこの子守唄」は大正琴が響き、昔懐かしくて寂しげなメロディー。日本の歌って良いなあ…としみじみ思う。何となく必殺仕事人のエンディングってイメージ。「刀と鞘」は演歌くさい歌が良い。「辻斬り小唄無宿編」は人間椅子らしい津軽三味線ギターが大活躍。ユーモラスでやるせないメロディーが心に染みる。「宇宙遊泳」は壮大、遥か宇宙に思いをはせる。「黒猫」は中間部にテンポアップした展開をはさむタイプの大作。日本的で邪悪な詩世界。盛大で熱いギターソロで曲をしめくくるのもカッコイイ。名曲!
『いい歳の取り方するなぁこの人達は』と毎回新しめなアルバムを聞くごとに思います。
初期の頃の詩も哲学的でもちろんかっこいいんだけど、最近の曲は言葉の一つ一つにより説得力が出てきたと思います。
自分達の長所を消すことなく円熟味を増していくバンドはただ単純にカッコいい。
グレイプバインはその数少ないバンドの1組だと思います。
作曲の方も相変わらずバイン節というか、切ないのあり・(いい意味で)スカしたカッコよさの曲ありと
この作品も楽しませてくれる内容になっています。
特に『CORE』『超える』なんかは今のバインだから出せる音なんじゃないかな、とにかく良い。
あ、ここまでずっと絶賛ですが初心者(特に中高生の方)向きではないと思います。
若い方は初期の彼らの曲から入るのが無難だと思いますよ。
簡潔に表現しない台詞回しは、相変わらず読み応えがあって面白く、どういう訳かそれで説得力があるのが不思議です。 行動や展開は強引ですが、精神面はネガティブとポジティブがいい具合にカオスってて実に"人間らしい"。 こういう恥かしげも無いキャラ(笑)は、恐らく氏にしか描けないであろうと思います。 しかし表紙やタイトルからは作品の中身がまるで想像もつかず、主旨というかノリを掴みきれない人もいるのではないかと。 またムゲニンの人間的なドラマではなく、殺陣シーンが好きだったという方には合わないかもしれない。 1冊という事で純度も濃く、勢いが持続したまま描ききってるのは好印象。 この作品に★5つつける事に何か強烈な違和感を感じつつも、作風としての希少価値も手伝い、他に選択肢が浮かびません。
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