30人の著者による珍しい本。
なこかのコンピレーション・アルバムみたいです。
非常に短い様々な作品が集まっていて、まるでカタログのようにそれぞれの作家の持ち味がわかります。
知らない作家に触れることができるし、ひとつひとつがとても短いので、読書につきものの“疲れ”がないです。
もっとこういった短い短い小説があってもいいと思います。
続編、出ないかな
この作品の『二 沢野崇の帰郷』で崇が幻に向かって喋る場面、そして兄弟の会話の場面は、「崇は『カラマーゾフの兄弟』のイワンを参考にしているのだな」と感じながら面白く読めた。しかし、作品全体を振り返ってみると、ドストエフスキーと比較するのは失礼ではないかと思う。
ドストエフスキーの長編には《キリスト》という大きなテーマがあり、殺人事件はその中で起こるエピソードの一つであった。だが、『決壊』では殺人事件そのものの比重が大きく、ほとんどそれだけを描くに留まっている。もっとも、『四 悪魔』でキリストの話が少し出て来るが、福音書とは無関係の表面的な話であり、作者のキリスト教への関心の低さが伺える。
しかし、詳細な描写によって、読者が作中の出来事をまるで眼の前で見ているかのようにリアルに感じさせる技能は素晴らしいものである。北九州の沢野家・TV番組・インターネット・警察・犯行現場などが迫真の筆力で表され、読者はそこで暗い衝撃を受けるだろう。
だがそれだけでは小説として素晴らしいということにはならない。作者は自分の外にある世の中をリアルに描いているものの、作者の内から溢れ出る情熱を感じられないのが残念だった。勿論、作者は作品に対して徹底的に忠実であろうとして、このように絶望的なストーリーにしたのだろう。だからストーリーへの文句は無いが、これだけの作品を書く際の創作意欲はどこから来たのか、その一端をもっと表してほしかった。この作者の『葬送』は面白かったし、素晴らしい技能を持っていることは本作で再確認できたのだから。
最後に言いたいのは、結末で崇は点字ブロックを跨いだものの、「線路に落ちた」とは書かれていないことだ。よって、崇が死んだとは決まっていない。崇の生死は読者の想像に委ねられている。私が思うに、線路に落ちていたら目線の高さからして運転手の顔など見えないだろう。
平野啓一郎は決して泉鏡花のエピゴーネンなどではない。そう言う人がいたならば、私には鏡花を馬鹿にしているようにしか思えない。鏡花のイメージの絢爛さや、どこにどう繋がっているのか分からなくなるような美文は平野には見られない。まあ、漢字の使用は少し似ているかもしないが、『康煕字典』を使って漢字の使い方を練っていた鏡花には遠く及ばない。また、「三島の再来」というのも言い過ぎだろう。二人の文豪にはどう考えても及ばない。
本書は平野の処女作であるためか、技巧に凝りすぎている。古くさい言い回しは時代感を出すためかも知れないが、奇妙な使い方をしているところがちらほら見られた。
だが、平野はそう悪い作家ではないと思う。『葬送』などは構成もしっかりしているし、文章のぎこちなさが全くなくなっていて、平野の著作の中では一番の傑作だと思う。
今、まさに決壊してますよね。 秋葉原以来、みんな閉塞感を打破しようとして、最悪決壊しています。 でも、それは問題を放置してきた社会全体で受ける罰のようなもの。
自殺する人間が増えている反面、凶悪犯罪が増えるのは当然ですからね。
いい加減、正しさだけを盾にする世の中の風潮を打破しないといけないのかもしれません。
はっきり言って、もう日本は死に体なんです。起死回生で頑張らないと(;^_^A
シャネルを着こなし、フェンシングの剣をもった林檎さんが素敵で
アルバム「スポーツ」の製作中の林檎さんの姿の描写や
メンバー全員分のインタビューもあり
内容がかなり濃いものになっているので
事変のファンの方なら購入して損はないと思います。
また、林檎さんが描かれた大変可愛らしい絵が掲載されていたのも
個人的にとても嬉しかったです。
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