水滸伝6巻セット 漫画文庫
水滸伝はスーパーロボット大戦と同じである。出自の事なる英雄・豪傑が、協力して敵と戦う。これは番長モノと同じ構造であり、聖闘士星矢やドラゴンボールも同じである。面白くないハズがない(アメコミのクロスオーバーも同じである)。
水滸伝の場合、実在の人物をモデルにした者も少なくない。この辺のオリジンを探すのも、また楽し、である。
以上は、オリジナルの水滸伝と同じである。だが、横山版の方が魅力的なのは、理由がある。それは、残酷描写の削除だ。作品というものは、国民性や時代に適していなければ、受け入れられない。水滸伝は中世の中国で完成した為か、非常に残酷な箇所がある。それをそのまま少年少女に読ませる訳にはいかない。これを横山先生は削除した。先生の人柄がうかがえるところである。元々、水滸伝の世界観は陽性であり、この変更は本質をいささかも損なうものではない(水滸伝と三国志演義を手本にした八犬伝は、対照的に暗い)。
もうひとつ、横山版には特長がある。それは、メインストーリーを重視している事だ。「いいのか?」と思うほど、多くのエピソードが省略されており、その結果、108人のうち、かなりの人物が登場しない。だが、これも本書の長所である。ストーリーがスッキリしてくる為、完成度が高まっているのだ。
あと、ラストも省略している為、ハッピーエンドになっているのも、僕にはうれしいところである。
バビル2世ザ・リターナー 2 (ヤングチャンピオンコミックス)
正直、バビル二世の悪いところが許容できなかった。横山光輝の描くバビル二世は道徳観に不完全な部分を持ち、情のどこかが欠落した人間によく似た生き物として異様な生命観を持っていた。しかしバビル二世は強すぎた。これがいけなかった。バビル二世が強すぎて全然ハラハラしないし、人間らしく描かれたヨミがかわいそうになるほどアンバランスな作品だった。
が、このリターナーは良い。凄く良い。確かに人間味はないが、殺伐とした雰囲気に必要無い要素だ。バビル二世は強い。とんでもなく強い。が、とんでもない強さのバビル二世が持つオーバーテクノロジーを、人類がキャッチアップしている。その上、わざとらしいけど少しずつバビル二世のテクノロジーよりも性能が良い。この米軍との個人的闘争は心が躍る、血が煮えたぎる様な興奮を覚えることができる。凄い。二巻全部で全く物語が進んでおらず最後の一ページでオッと思わせる、それくらいなんにも進んでない。であるが、なんだか説得力のある画力にぐいぐい引っ張られて大満足できるだろう。
突っ込みどころに突っ込まない。それが作法だ。レールガンの着弾に数分かかるなら発車後のその数分間にちょっとでも動けば当たらないんじゃないの?そんな当たり前のことに気づいていないふりをすることがこの漫画の迫力を楽しむコツだ。
劇場版アニメーション作品「三国志」 [DVD]
残虐なシーンも多く、リアルに描かれている。
ただ、少し感傷的なシーンが多い。
作られたのが90年代にしては、古めかしく感じる。
大人向けにもっとリアルである方が楽しめるかもしれない。
実際には、もっと利害関係が複雑に絡み合って行動していたはずである。
平家語物 (上)―マンガ日本の古典 (10) 中公文庫
横山光輝と言えば三国志の60巻のマンガが有名ですが、やはり三国志で培った力が凄いのか
戦闘シーンとかのコマがうまいこと表現されていますし、詳しいです。物凄くわかりやすく平家物語を知ることができました。このシリーズの軍紀物はすべて描いて欲しかったです。