刑事と民事―こっそり知りたい裁判・法律の超基礎知識 (幻冬舎新書)
現役弁護士である著者が記した本書。素人にはなかなか理解しづらい法執行の過程であるとか、
民事と刑事の違いなどが非常に分かりやすく書かれている。
例えば、時々ニュースで見かけるが、刑事で無罪の人間が数千万円もの
損害賠償請求を求められているのを見て、不思議に思った方もいるのではないだろうか?
本書を読めばその疑問が氷解する。
簡単にいえば、刑事では、無実の人間を誤って有罪とするくらいなら、
犯行を犯した人間を無罪とする方がマシだ、との考えが根底にあるとのこと。
しかし、民事では有罪認定のハードルがもう少し低いから、損害賠償請求が確定したりすることがあるそうだ。
こうして「法律的な考え方」を学ぶだけでも、普段目にする刑事事件への理解が格段に異なってくるだろう。
裁判員制度も行われる昨今、有用な知識を学べる本書、買って損は無い良著である。
裁判官の人情お言葉集 (幻冬舎新書)
裁判をおもしろがってはいけないが、関心を持つことは悪いことではない。
裁判とは、人の欲や感情がほとばしり出たものだと思う。それも法律の抑制を超えて出てきたものだと思う。
もちろん罪を犯した法が一般に悪いのだけれど、それ以外にも何かあるのではないかと思って、この本を読んでみたわけだ。
この本は見開き構成になっていて、偶数ページの左端に決めの台詞が2、3行にまとめられている。
これが人情お言葉なのだそうだけれど、裁判の中身を知らないので、ピンとこない。
残念な構成である。奇数ページにその『お言葉』の解説が並んでいるのだけれど、裁判の中身がわからずでは、著者の上滑りな文章のような感じられてしまう。
惜しい、実に惜しい。一貫した記述方針のもとに再構築してほしい本だ。だって素材はとてもよいものなのだから。
裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)
著者は現在ライター業を営んでいるが、もともとは弁護士を目指していた人物。残念ながら7度の不合格を重ねた結果その道を断念、その後現在の職業に転じたようだ。だから本書もいわゆる裁判の素人が、裁判官の本音が垣間見える数々の発言をただ集めたものではない。
思わず発してしまった言葉もあるかもしれないが、ここに紹介される裁判官の発言は多くは考え抜かれたものである(当たり前だが)。著者は、自身に経験を生かし、それらの発言の背景に見えるもの、裁判官の真意、その他諸々を簡潔に解説あるいは推測するのだが、ここが単なる素人が書いた作品と異なる部分だ。
タイトルにふさわしい「爆笑お言葉」も確かにある。しかし、そのほとんどは裁判官の人間性が現れた「真面目なお言葉」だ。厳粛な雰囲気の裁判で発するから違和感があるのかもしれないが、人間味溢れる言葉も多い。
幻冬舎からの出版。しかもこのタイトルだ。本当にお笑いだけの作品かと思って、またそれを期待して(真面目な人や事件の当事者には怒られそうだが、裁判所の当事者になったことのない人で、そういった興味が全くないというのは逆におかしいと思う)購入した。著者もそれに応えるようなツッコミを入れて、おもしろく読ませようという意識はあるのだが、真面目に読むこともできる、いい意味で期待を裏切る一冊だった。
ただ、著者は、問題提起などではなく、単なるネタとして本書を書いただけのような気もするが…。