Verve
VERVEがデビューアルバム以前に発表した三枚のシングルを一枚にまとめた結構おいしい編集盤だと思います。と、いうのもこの三枚というのはデビュー・アルバムに収録されている曲よりもどれも質が高く、どれも傑作と言っていい内容だからです。1.3.がEditバージョンなのとデビュー曲である「ALL IN THE MIND」が収録されてないのが少し残念ですが、でも、まあ、そんなことを感じさせないほどの名曲揃いなので、VERVEファンはもちろん、そうじゃない人にも是非とも聴いてほしい編集盤です。
FORTH(初回限定盤)(DVD付)
まず印象的なのは名盤「アーバン・ヒムス」のヒットシングルのようなアンセミックな「歌モノ」はほぼ皆無であること。
どちらかというと1st,2ndの頃のような深いサイケの霧が立ち込めていて、リズム隊が刻むミドルテンポを基調にバースト・ギターの残響がアルバムを通じて渦巻いている感じです。
それでは「アーバン・ヒムス」期〜ソロ時代に際立っていたリチャードのポップメロディ志向は、今作で封印されてしまったのかというと、決してそうでもなさそうです。
キャッチーさゆえにアルバムからは浮いているともいえる#8「バリウム・スカイス」と先行シングルの#2「ラヴ・イズ・ノイズ」の2曲。特に後者の#2はちょっと浮きすぎなほどカッコいいです。軽快な4つ打ちビートに、ループするコーラス、とにかくアッパーにダンサンブルに展開するシングルヒット間違いなしなキラーチューンで、「ビター・スウィート・シンフォニー」と並ぶライヴ・ハイライトになっているのはサマソニ東京はじめ再結成ツアーで証明されています。
しかしながらアルバムの基本構成は、モノトーンに鳴り響く気だるいグルーヴのジャムセッション的な広がりであり、中には8分を超える大作も。
ひとたび本作を手に取れば、スピーカーから流れてくるのは、11年の歳月を経て「再生」したヴァーヴが鳴らす恍惚であり、そのサイケデリア・ノイズの洪水に酔いしれることは必至です!
*ボーナストラック2曲収録。
ディス・イズ・ミュージック-ザ・シングルズ92-98 [DVD]
同じ3000円を使うなら、コピーコントロールCDのベスト盤を買うよりもこのDVDを買った方が絶対にお得。楽曲の世界観のまま鮮烈に網膜と鼓膜の両方に焼き付けるビデオクリップで、自宅にいながらトリップ状態。リチャード・アシュクロフトの眼には人を惹きつける強烈なエナジーが宿っていますよ。