Harrison's Principles of Internal Medicine, 18th Edition (2-volume set)
1949に1eが出版されて以来, 62年間で17回の改定を経た18e.
先人の知識の累積を手に入れることができると考えると, 安い買い物です.
(数年後に出る日本語訳は恐らく3万前後すると思います)
内科学の教科書としては唯一, 人から薦められます.
世界中で使用されていて, 特に母国語の医学書がないような国では原書で用いられているからか、英語は読みやすいです.
全体としては膨大ですが、各項目の量は適切で, 1 Chにつき大体20, 30分程度で読めます.
項目が多すぎるせいか目次は結構雑なので, 体系的に学ぶというよりは辞書的な使用法が主になりますが, 的を絞れば通読も無理ではないと思います.
各科の専門書には敵わないところは当然あるので, 教科書という域は脱しません.
対象読者も, 内科医が専門外のことで調べたり, あとはGPやスーパーローテ/ポリクリ中の研修医/学生でしょうか.
持ち歩きには向きません: 大きく重いうえ, 分冊間での参照とかあるので2冊一緒に用意しておきたいです.
各部の色分けなんかは17eのほうがきれいだったと思いますが, これは見た目の問題ですし人それぞれですね.
Rx部全体に黄色い網掛けが入っているなど、アクセスのし易さは向上しています.
DVDは何個か見ましたが, 実技はNEJMのビデオ講座のイメージです.
内科疾患で外科的治療もある場合, もう少し触れていてほしいと感じたことはあります.
本棚で眠らせないようなるべく頻繁に参照するようにしています.
後期ショパン作品集
以前の夜想曲全集の録音が好きになれなかったので
聴く前は不安だったが、予想より良い感じの好演だった。
夜想曲全集のようなくどい表情付けを避け、
シンプルに音楽の流れを重視したように感じられ、
より自然な演奏に仕上がっている。
モーツァルト生誕250年記念BOX モーツァルト:ピアノソナタ全集
マリア・ピリス 1974年来日記念CD モーツアルトピアノソナタ全曲とも素晴らしい演奏。若々しい演奏と素晴らしい音響は心に沁み込んでくる。
グリーグ:ヴァイオリンソナタ集
フランスのヴァイオリニスト、デュメイ(Augustin Dumay 1949年-)とポルトガルのピアニスト、ピリス(Maria Joao Pires 1944- )によるグリーグ(Edvard Grieg 1843-1907)のヴァイオリン・ソナタ全3曲を収録したアルバム。録音は1993年。
グリーグの3つのヴァイオリン・ソナタはいずれも美しい作品であるが、なぜか録音される機会が少ない。最も高名な第3番でも、新録音のニュースにはあまりお目にかからない。
これらのソナタにはしばしば構造的な欠点が指摘される。その「欠点」は、これらのソナタに、と言うより、グリーグの作品全般に言われることだが、対位法的な処理があまり行われず、音楽が展開力に乏しいことである。逆にグリーグの美点として「美しいメロディ」を創作する能力があった。そのため、グリーグの全作品を俯瞰すると、圧倒的に多いのが「小品」である。メロディだけに紡がれた、大きな展開のない音楽だ。逆に本格的なソナタ形式を踏襲するような規模の大きい作品は極端に少ない。交響曲は習作とされる1曲のみだし、ピアノ・ソナタとピアノ協奏曲がいずれも名品だけれど、たったの1曲ずつ。
そのような背景にありながら、なぜかヴァイオリン・ソナタだけは3曲もあるのである!この事実は結構重要な気がする。グリーグが自ら「不向き」と考え、ごく限られたインスピレーションのみを還元していたジャンルにあって、なぜかヴァイオリン・ソナタのみが豊作なのである。「ヴァイオリン」と「ピアノ」という二つの「歌う」楽器の合奏に、メロディ主体で楽曲を構成できる調和を見出したのかもしれない・・・しかし、そのヴァイオリン・ソナタも、よく構造的な欠陥が指摘される。例えば、一つの主題から別の主題に移る際の音楽的な処理は、しばしば「カット」され、ただの「ジャンプ」になってしまっていたりする。
しかし、これらのヴァイオリン・ソナタを彩る旋律は本当に美しいのだ。だから、上記の様な不自然な音楽的欠陥があっても、私はこれらのソナタをとても楽しむことができるし、いろいろな想像をかきたてさせてくれるものだと思っている。それで、その入手可能なディスクで有力な大御所による録音となると、このデュメイとピリスによるものとなる。
デュメイの演奏は、旋律の美しさを引き立てた瑞々しいもの。適度な柔らかみがあり、音色も過不足ない。とくに緩徐楽章の郷愁に満ちたメロディが、清涼感に満ちた爽やかな佇まいをもって示されているのは、たいへん好ましいと思う。作為を感じさせない自然なニュアンスに満ちていて、まるで夏の木陰で、涼やかな風を受けているような心地よい響き・・・たいへん魅惑手な演奏だ。ソナタ第2番の終楽章の輝かしさも忘れ難い。また、ピリスのピアノはいつもながら自由を謳歌するような演奏で、興味の赴くままに流れていくよう。デュメイとの相性は悪くないだろう。それにしても、もっと多くのヴァイオリニストに、これらのグリーグのソナタを録音してほしいと願う。