Latin Dictionary Founded on Andrew's Edition of Freud's Latin Dictionary
本書はOLDが刊行せられるまでは古典ラテン語辞典の最高峰でした。いまでこそOLDにその地位を明け渡しましたが、それはより新しくより充実した辞書ができたといふ意味でさうなのであつて、何も本書に問題があるわけぢやないし、その価値と生命が失はれたわけではありません。ルイスの本書にせよ、基本辞典にせよ、語義説明や例文が段階に応じて必要十分に与へられてゐますので、ラテン語の段階的な学習に役立ちます。さすがに研究者向けにはどうか知りませんけどね。俺はラテン語を読むときだいたい本書を使つてゐます。ほんたうに必要があればOLDを繙きますが、OLDは大判過ぎて扱ひにくいのですね。本書も大判ではありますが、手頃な大きさに収まつてゐて、扱ひやすく助かります。ただ難点をいへば見出し語の字体が独特なゴシックでやや読みにくい点ですね。基本辞典のはうも同じですけど。でも中途半端な羅和辞典を買ふより本書を買ふはうがずつとお勧めです。使へば使ふほど、読めば読むほど、あぢはひ深くなり、西洋古典研究の含蓄が感じられます。価格もむしろ安いでせう。