GMとともに
GMを世界屈指の巨大企業に成長させた元GM社長であるアルフレッド・P・スローンの幻の名著です.経営理念から戦略論・組織論まで,スローンの経営手法が凝縮されています.特筆すべきは,スローンがGMだけではなく自動車業界ひいては合衆国全体の発展を切に望んでいたことが本書から伝わってくることでしょう.
Dracula [VHS] [Import]
魔人ドラキュラのイメージを決定的にしたベラ・ルゴーシ主演の名作であります。戦前、活動写真からトーキーへと変遷する銀幕界にあって、ブラム・ストーカーの原作を見事に印象付けたお気に入りのホラア映画です。
もちろん個人的には、サイレント時代のムルナウの「ノスフェラートゥ」といふ独逸映画のほうが秀作だとは思ふのですが、ドラキュラといへば、此のタクシイドに襟の立った黒マント姿のベラ・ルゴーシを誰しも思ひ浮かべる事でありませう。
Double Cross
カナダ産ギターポップの代表格、スローンの最新作(2011年作)。
90年代から第一線で活躍し、日本のポップスファンにもお馴染みのスローンも、ついにバンドは20周年です。
これって浮き沈みの激しい音楽業界において何気にすごいことだと思います。
かつてティーンエイジ・ファンクラブやヴェルベット・クラッシュが一貫して奏でてきたように、
時代を超越したグッドメロディをスローンは2011年の今も鳴らし続けています。
ベテランらしく細部にまでこだわったサウンド全体のまろやかな響きを大切にしながらも、
瑞々しく軽やかでポップなサウンドは、彼らがまだまだ老け込んでいないのを証明しているように思います。
20周年なのに、12曲34分というコンパクトな作品なのも自信の現れでしょう。
久しぶりにスローンの名前を見たって方も、スローンなんて知らない若いリスナーもぜひ聴いてみてほしいですね。
大物バンドが次々と解散や活動休止する中、着々と自分たちのサウンドを鳴らし続けています。
進化する地政学―陸、海、空そして宇宙へ (戦略と地政学)
地政学の新時代を開く論文集。
古典的地政学のマッキンダーやマハンの著作をその時代背景も踏まえて検討した最新の論文−彼らが軍備の拡張や自国の覇権維持を唱えていたという俗説を覆すものである−から始まり、戦略爆撃や核攻撃を意味していたエアパワーが統合運用のための1つのピースの意味に変わってきたとする論文も画期的である。
また、宇宙空間に古典的地政学の理論を当てはめ、衛星を効率的に運用するための軌道やラグランジェポイントを管理する宇宙地政学、第5次元の情報空間でも航空宇宙といった物理的な地政学との関係を断ち切れないといった情報地政学も興味深い。
さらには、上記のような地政学は政治を地理上の条件から、○○せねばならぬ、または極限すれば敵か味方かという単純な二元論に陥れてしまうといった批判地政学まで登場する。
分量が多いと言うことで分けて出版されるそうで、第2集の出版が待ち遠しい。
My Years with General Motors
おもしろい本でした。
チャンドラーの「組織は戦略に従う」が実に専門的な本で、読み進めるのに苦労しているのに比べ、それほど苦労無く読めました(といいつつ2回読みましたが)。スローンの自伝という体裁をとっているが故なのだと思います。
色々な局面で登場する難題、課題に対してスローンがどうやって対処したのかというお話は、一つ一つがビジネススクールのケーススタディみないな感じで、非常にためになりました。
年毎のモデルチェンジ、自動車のスタイリング重視(自動車のデザインをデザイナーに任せる)、ディーラー政策、といったように今日ではおなじみの政策が、すべてGM発祥ということに驚きます。
1920年に倒産寸前だった企業が、スローンによって蘇り、その後40年以上もアメリカを代表する大企業であり続けたというのですから、大変すごいことだと思います。
80年のバブル期の事業部制、そして21世紀に入ってから形を変えた事業部制であるカンパニー制を導入するのがブームのようです。
ですが、多くの企業は分権化と会社としての一体的方向性というものが調和していないように思えます。特に行き過ぎた分権化が横行しているようにも思えます。
その点、80年以上前にその問題を理解していたスローンの慧眼には驚くばかりです。
ですが、、、
スローン亡き後のGMは、業務改革を怠り、硬直化した官僚組織によって支配され、特に財務屋に乗っ取られてからは瀕死の巨象とでも言う状態が続いています。
その中で、現代のGMが財務屋が乗っ取る会社になってしまった理由が、歴史的な沿革を読むことでよくわかりました。
財務コントロールによって大不況を乗り切ったという、成功体験が大きく影響していたのですね。
なるほど、スローン自身がそのまとめにおいて、GMはひらめき型の経営者には不向きだが、有能で理屈を重んじる人々には適した環境だと言えるだろう、と言っているぐらいですからね。
その企業文化が、数々の成功体験を経て硬直化していったのだろうことは想像に難くありません。