シューマン:子供の情景/森の情景
シューマン「子供の情景」ホロヴィッツの演奏が有名だが、音質が悪いのは皆の知る所。で、86年デジタル録音のカツァリスの演奏:美しい。
多くの困難な作業をしてきただけの事はあって、深い曲の解釈は、自然が奏でる数々の音風景に等しく、ときに小鳥のさえずりの様に、小川のせせらぎの様に、小風のささやきの様に、優しく 知らないうちに通り過ぎるが、時に 嵐や 小雨 濁流 曇り・・・ といった、立止ったり 沈思黙考したり、注視したりする面も しっかり 表現されている 素晴らしい 演奏だ。心身が豊かになるようだった。
欲を言えば、もう少し 重低音が響いて欲しかった。最低音部のパートが ハッキリはしているが 物足りなく思ってしまう。だからと言って、高音部がハッキリし過ぎていて 棘棘した演奏でもない。多分 そこを充足すると シューマンの意図を逸脱してしまうのかもしれないが。ルイサダ(ジャン=マルク)のような癖のある「子供の情景」も聞いてみたいなぁ。
そういう意味ではカツァリス演奏のショパン「ワルツ」とは全く違った雰囲気のCDだった。
リスト:P作品集
詩的で宗教的な調べ「孤独の中の神の祝福」が聴きたくて購入した。中声出しや独特なアレンジが得意なカツァリスにとっては、こういった荘厳な曲が向いているかもしれない。大のお気に入りの曲である。ブレンデルの演奏よりは、気に入っている。孤独の中に差し込むかすかな希望や儚さを感じ取ることが出来る。言葉ではうまく説明できないので聴いてみて。
問題はメフィストワルツ第1番である。後半のあの正確無比の速さは凄すぎる。あのパッセージをあそこまで速く弾く演奏は聴いたことが無い。とんでもない超絶技巧である。一度は聴いてみるべきである。また、2番以降の録音もあまり存在しないので、買って損は無いと思う。
っていうか、こんな素晴らしいCDが1050円というのはあり得ない!自分のもつ数あるCDの中でも、お得なCDTOP3に入る作品である。
ショパン:ワルツ集
他の人のレビューにもありましたが
楽譜に忠実な演奏というよりは、多少のアレンジがあります・・・が、
何と言うか・・・何度聴いても色褪せない、素敵な演奏です。
同じ曲でも演奏家によって、全然違って聞こえます。
好みの問題もあるでしょうが、私は彼の演奏が大好きです。
バッハ:ピアノ協奏曲集
カツァリスはどちらかというと無理に対位法を目立たそうとするなど、変わった演奏が多くて、このCDも最初はあまり期待していなかった。しかし聞いてみると、荘厳に一楽章が始まったと思えば、3楽章につれて熱く切迫していく様子は見事だった。やはりこの人の指がまわるので、自分が思っているようなバッハ像を描ききれているみたいで余裕もあり、聞いていて軽妙で楽しい。
選曲も有名なアリアが入っている第5番が入るなど、初めての方でもいいのではないだろうか。私の希望としてはぜひ全曲版を録音してもらいたかったというのが正直な感想である。