風紋〈上〉 (双葉文庫)
好きな作家です。女性作家らしい細やかな描写・表現と男性的なストーリーの組み立て方が飽きさせずに先へ進ませてくれます。 登場人物のキャラがそれぞれ際立つので、「あれ?これ誰だっけ?」と迷わず感情移入しやすいので読み進むほど先へ進みたくなる作品だと思います。
地のはてから(上) (100周年書き下ろし)
とても苦しい、とても厳しい話しでした。
読むほうも気持ちに余裕がないと凹みそう。
2世代の女性(母、娘)を中心に書かれています。
二人とも『生きていく』という力強さがあるけど、かといってポジティブとか、前に向かって頑張ろう!とかではなく
その時代はこんなもんなんだよと、淡々としていて、だからこそそれが生々しい。
今の時代に生きている私達から見て、良いことが全然ないんじゃないかと思える厳しさだけど
彼女達は毎日を生きている。
私は、とわと三吉の淡い恋をとても楽しみにしていて、いつ三吉が出てくるのか楽しみにしていました。
でも、私の想像とは大きくかけ離れた再会。
衝撃的過ぎて涙が出ながらも、でもそれもリアルなのかな
あんなに爽やかだった三吉が、変貌してたのも「時代」
それにしても、『ニサッタ、ニサッタ』でのあの素敵なおばあちゃんがとわだったなんて
こんなに厳しい生活をしていた祖母からもあんなにぐうたらな孫ができるなんて
けど、それもリアルか
読みながら、高村薫さんの『晴子情歌』を思い出しました。
そこまで重たくはないけど
風の墓碑銘(エピタフ)〈上〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)
非常に出来のよい2時間サスペンスドラマだと思った。
さすがこれがプロの筆力、テクニックというものか。
音道と滝沢の視点の入れ替わりがなかなかおもしろい。
女性とオッサンの会話も、コーンウェルを彷彿とさせるテンポの良さ。
いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)
とにかく読み始めたら乃南アサさんの
人物描写に引きこまれていきます。
思わず、ハコちゃんまだ若いのに
未来を自ら閉ざしている考えに
ハラハラします。
暗い過去さえ吹き飛ばして
しまいそうな綾香さんの
うははは、の笑い声が好きでたまりません。
ただひたすら、この二人に未来を。
と願いながら読んでしまいます。
明るさと闇のバランスがとても良い作品です。
おすすめです。