二代目はクリスチャン [DVD]
笑いあり涙ありのストーリーに、絶妙のテンポ感でクライマックスまで一気に“魅せて”くれます。
特にクライマックスの仇討ちシーンは映画ならではのカタルシスに満ちており、あの井筒監督の演出も冴えています。
演じる主役の志穂美悦子さんは実に美しく、脇を固める柄本明、蟹江敬三両氏などもとにかくスバラシイです。
これはあまり語られる事はないと思いますが、エンディングのスタッフスクロールのカットの止めシーンも、絶妙な表情の瞬間を捕らえていてぜひDVDでご確認いただきたいところです。最後の悦ちゃんの美しい笑顔の止めがまた最高!
この作品は個人的には80年代角川映画の傑作であり、井筒監督の傑作と言ってしまいたい!!!
☆一つマイナスなのは、発売前の告知では特典として収録される予定だったBIRDS(原田知世、渡辺典子、原田貴和子、野村宏伸)が歌う「二代目はクリスチャンのテーマ」のプロモクリップが収録されなかった点。権利関係でダメだったのでしょうか・・・。
歌はともかく、曲は今聴いても名曲なだけにとても残念。
蒲田行進曲 [DVD]
非常に楽しめる娯楽作品でした。
まず、銀ちゃん(風間)が凄すぎる!
そして、もちろん、映画論みたいに場の認識が変わるのだが(映画の中の映画の中の…映画)、そんなことを哲学的に分からせようとする堅苦しさもなく、展開も速いし、見ていて楽しかった。
少し古めの深作作品をもっと見てみたくなりました。
演出についての覚え書き 舞台に生命を吹き込むために
アレック・ギネス、リチャード・バートン、イアン・マッケランなどを育てた
イギリス演劇界の巨匠、フランク・ハウザーが書き溜めた、演出家としての心得に
彼の演出助手を務めた、ラッセル・ラインが解説をつけている。
私は脚本屋だが、 本書の演出家の心得すべてがハタと膝を打つものばかりである。
以下にいくつかの項目を書き抜き、カッコ内に私見を述べる。
・脚本を読みなさい〈1項目めがこれである。私は声を上げて笑ってしまった。
いかに脚本を読まない、演出家や俳優が多いことか)
・ストーリーを動かす「問い」を見つけよ〈観客はテーマで芝居を見てくれるわけではない。
次はどうなるのか?するのかしないのか?を演出することが大切だ。脚本の運びもまた同じ)
・劇では特異な状況下の人間が描かれる(つまり普通の人は出てこない)
・結末はオープニングに内在する〈偶然に逃げるな)
・〈演出家は)最小限の言葉で核心を説明せよ〈だから脚本家は説明ゼリフを書くな。俳優は説明せず
表現せよ)
・すべての「点」をつないではならない〈日本ではダレ場という言葉で説明されることもある)
・〈演出家は、役者やスタッフ)全員に気に入られようとするな(皆が嫌がる決定を下さねば
ならないことがある。脚本家は俳優の嫌がる台詞を書け)
・〈本読みは〉ぼそぼそと小さな声で読ませるな〈本読みに立ち会った脚本家はがっかりする)
・(稽古中に発生した)難問への解決策は後で発見せよ〈演出家は「いいよ」「だめ」「後で考えよう」の三語でよい)
・疲れたとき新しいシーンの稽古はしない(碌なことはない)
・すべてのシーンは「追う、追われる」〈そうなっていない演出、脚本が、いかに多いことか)
・演技の修正指示はその俳優だけに聞こえるように〈すべての俳優はプライドの塊のような人格だ)
・すぐれたユーモアには性格の悪さが必要〈受けないときは性格の悪さや、無礼な振る舞いが
救ってくれるときがある。例は「なんだバカヤロウ」)
しかしこの演出家にとっての宝物のような本をすべての演出家が
読んでしまったとしたらどうなるのだろう。みんな巨匠になってしまうのか。
そうはならない。理解できる人は皆ではないし、実践できる人は、
理解した人のうちの数人である。
寝盗られ宗介 [DVD]
原田芳雄さん追悼の特集で観ました。
破天荒、というとちょっと違う気がしますが
やわな型などには嵌められないような、本作の主人公の宗介のキャラクターの造型、
クライマックスの越路吹雪の歌唱シーン、
ラストに残される映画の余韻・・・
見事でした!
藤谷美和子さんの魅力も久々に確認できたのもなんだか嬉しかったです。
素晴らしい映画でした!