ザ・ベストテン スポットライト編
いろいろな懐メロのオムニバスアルバムがある中で、この1枚は名曲揃いなのに他では中々収
録されていない曲が目白押しです。私はこの頃の「青春歌年鑑・続青春歌年鑑シリーズ」を全
部揃えていますので、他の年代別版の「ザ・ベストテン」の方はあまり不要ですがこのアルバ
ムは既存のオムニバスに収録されていない曲ばかりでとても満足しています。
特に元キャンディーズのミキの「夢・恋・人。」や、ばんばひろふみの「速達」なんかが個人
的には最高でした。
あの頃映画 松竹DVDコレクション 「異人たちとの夏」
なんということはないタイトルなのだが、内容が素晴らしい。
ストーリーも「亡くなった両親との再開」という、ありふれたものだが、それでも素晴らしい作品に仕上がっている。
そこが大林作品の魅力なのだろう。
片岡鶴太郎と秋吉久美子が、いい味を出している。
画面もきれいだし、プッチーニのアリアが、これでもかと雰囲気を盛り上げる。
特に、親子のキャッチボールのシーン、それと、すき焼き屋での親子の別れのシーンは涙無くして見られない。
何度も見たくなる、宝石のようなDVDとしてお勧めである。
白虎隊 [DVD]
前後編ともに最初に森繁さんが少年の闘いを謡った後で主題歌「愛しき日々」が流れるのですが、観光名所となっている現代の鶴ヶ城と周辺が映し出されます。短く激しく命の火を燃やして散っていった幕末の人たちの姿が、時代が移って景色がすっかり変わっても、はっきりと浮かび上がります。今の平和に辿り着くまでに日本という国がどれだけの変遷を経てきたか…。そこには涙なくして語れない深い人間のドラマが綿々と続いているのですね。誰もかれもが都会に憧れ、2世、3世と東京に便利さだけで住む人が増えましたが、生まれ育った国を愛することの凛とした美しさ、素晴らしいと思います。新撰組土方役の近藤正臣さんは、二度と現れない適役です。剣道をたしなむ近藤さんらしく、相手との間合いのとり方や、片手で相手の胴を抜く型など、美しいの一言です。この作品に登場する全ての役者さんが、決して代替できるような人がいないほど、キャスティングは歴代最高傑作といえます。このDVDをご覧になられたら、是非会津若松の鶴ヶ城及びその周辺をお訪ねください。現世のつらさも哀しみも深く包み込んでくれるような母なる水湖、猪苗代、理想高く輝く雄大な会津磐梯山。そしてイタリアの人々も深く感動し、その慰霊にモニュメントを贈った少年戦士、白虎隊。資料館では油彩で描かれた彼らの肖像画が並んでいます。澄んだ瞳と血潮鮮やかな幼い頬を見ては、「やりたいこともたくさんあっただろう。この時代に生れ落ちた宿命をどう思ったか」と自問し、涙が流れてとまりませんでした。最近不勉強で怠惰なTBSのテレビ制作スタッフが作った会津鶴ヶ城の落城理由に会津若松の市長が激怒したのは、同感ですよ。お前たちにこの少年たちの、絶望的な将来に命を賭けた勇気と純粋な理想がわかるのか!と思いました。とても素晴らしいDVDです。いつまでも大切にご家族でお楽しみください。
太陽を盗んだ男 [DVD]
この作品が公開されたとき私自身まだ生まれてもいなかったので、
その時代を過ごしてきた方々とはこの作品に対する受け取り方が少し違ってくるのではないかと思います。
作品自体の突っ込みどころは多々あれどいずれも評価を下げるに値しないものです。それほどまでにこの作品に込められたエネルギーには凄まじいものがあります。
沢田研二演じる主人公の廃退的な雰囲気を持ちながらも、何かしらもやもやと世間に対する苛立ちも持ち合わせたとても人間的な姿はとても魅力的です。
菅原文太演じる刑事の紳士的であり社会の秩序を守っていく姿が徐々に歪んだものへと変化していき、最後の狂気に満ちた姿への変貌っぷりにも引き込まれました。
池上季実子演じるDJには終始苛々させられました。マスコミの悪い部分とその時代の雰囲気であったであろう危険な楽観視の風潮を併せ持つ女性。
この苛々させながらも作品をさらに面白くさせるこのDJは観終わるといいキャラクターだったなと感心させられます。
登場人物だけ見ても十分濃いのですが作品自体の内容も主に当時の日本とその国民に対する皮肉がたっぷりでそこにかえって愛情を感じました。
当時のファッションや車、町並みを感じることが出来、とてもエネルギッシュなこの作品、今更ながら私の好きな映画のひとつに加わりました。古い作品だと思っている人にかえっておススメしたいです。