続 徳川の夫人たち 上 朝日文庫 よ 11-11
「徳川の夫人たち」が面白かったので「続‐」も購入しました。お万の方の人生を描いた「徳川の夫人たち」に比べ、こちらは歴代将軍の大奥に働く女性たちを中心に様々な主人公を描いて短編集のように進行します。ただ切れ切れに主人公が変わるのでなく、歴史の流れにそって話が途切れることなくすんなりと次の主人公に移行しますので、短編嫌いの私にも抵抗なく楽しめました。一人の人生をじっくりと読み込むのではありませんが、豊富な資料と周到な調査の上に、今までスポットの当たらなかった女性たちについて個性豊かに描かれている点は、面白かったです。ただやはり前作のような濃厚な物語を期待した方にはちょっぴり物足りなさを感じるかな、という点で星4つです。
あの道この道 (文春文庫)
大正〜昭和の小説をよく読むようになったきっかけは
吉屋信子さんの影響が大きいです。
この小説は「冬の輪舞」の原作だったのですね・・・。
ドラマはいいとして、
すっかりこの話しにのめりこんでしまって
仕事中も気になって気になって・・・・。
早く続きが読みたくてたまらなくて・・・と、ゆうくらいに
引き込まれてしまいました。
現代の言葉の表現よりも
とっても美しく、想像力がかき立てられるような言葉遣いが
読んでいてとても気持ちがよかったです。
欲も裏もなく
純粋な気持ちを現代に生きてる
自分にも当てはめてみたくなりました。
花物語 下 (河出文庫 よ 9-2)
花物語の下巻は、後半の19編を収録します。花物語も後半に入ると、ストーリーも深化して時に少女小説の枠を越えたような作品が出てきます。形式も著者に宛てた投書の形(アカシヤ)、樋口一葉風に文体をまねたもの(日陰の花)といった工夫も見られます。特に「ヘリオトープ」は散文詩のような美文調でまとめた掌編です。末尾に大正12年10月14日と日付があります。大正12年9月1日の関東大震災から1ヶ月半後の作品で震災の影響が垣間見られます。
下巻のエピソードでは、さらに女同士の恋愛感情に踏み込んだ作品が出てきます。「アカシヤ」「日陰の花」「黄薔薇」「スイートピー」など。就中、「黄薔薇」は、古代ギリシアの女流詩人に言及して、まさにその世界を描いています。どのエピソードも悲しい結末に終わっており、やや苦い後味を残しますが、いずれも少女小説を超えてその先を行く力作です。
花物語をはじめ当時の少女雑誌というと、中原淳一の挿絵と決まっていました。あとがきによれば、河出文庫版の表紙絵は、中原淳一のイメージに囚われずに読んでほしいという意図からこのような表紙絵を採用したとのことです。これは良い試みと思いました。
徳川の夫人たち 下 朝日文庫 よ 1-2
本書を読んで、一番感じたことは日本女性の美しさ。それも人の行動や言葉に一々感動し涙するほどの心をもったすばらしい美しさ。本書はその美しさと聡明さを兼ね備えた三代将軍家光の傍妾であった永光院の生涯を描いた小説です。本書を読みながら思ったことは、このような女性が何故日本からいなくなったのかということです。日本女性といえば「アメリカの会社で働き、イギリス風の家に住み、中国人のコックを雇い、日本人の女性を妻にする。」ことが一番贅沢とされるほど世界でもおしとやかで奥ゆかしいとされていたほどで、日本文化の誇りでもあったはずなのにと・・・。
本書の内容に関しては、慶光院からお万の方、永光院へと移りゆくひとりの女性の生き方とその時代時代での考え方の変化を上手く小説化しており、大変面白く読みすすめることが出来ました。ただし終止永光院お万の方を賛美しすぎているので、最後の方では若干少女漫画チックになってしまっていることが気になります。