チョーク! (Hayakawa novels)
あら、びっくり。ラストのこの癒され方はなんだ! 途中のトンデモ展開といい、主流文学にしておくのが惜しいような作品。(昔の)SFファンが読めば、きっと面白いはず。……っていうか、読んで売れてくれれば、溜まった未訳が出版されるのではないかと期待。
なぜ本番でしくじるのか---プレッシャーに強い人と弱い人
携帯電話の販売員に、携帯電話を今までに一回も使ったことがない人が留守電のメッセージを入れたり削除したりするのにどれだけ時間がかかると予測させると、13分以下と答えた。しかし、実際にかかったのは30分以上だった。つまり、専門家が他の人のパフォーマンスを予測すると、専門知識の呪縛にかかってしまう。しかし、いくらか携帯電話を使ったことのある人(専門家ではない)に同じ予測をさせると、最も正確に予測した。
経験を積んだ人にとって、熟練していない人の考えを聞くことは有益になる。
ストレスやプレッシャーのない状況では、ワーキングメモリーの多い人は最もよい結果を出せる。しかし、プレッシャーを感じると、能力の高い人はパニックになり、実際には能力が低い人がふだん使うてっとり早いやり方になってしまう。能力の低い人もやはりパニックになるが、ふだん行っているてっとり早い方法に頼っているので、プレッシャーがあってもそんなに結果は悪化しない。
2006年、カナダのスポーツ科学者グループが、ジャーナル・オブ・スポーツサイエンス誌に発表した調査。アメリカとカナダの男性スポーツ選手2000人(NHL NBA MLB PGA)の出生地のデータを見ると、人口50万人以下の都市出身のプロスポーツ選手の割合が、偶然の値よりも高いことを発見した。逆に、人口50万人以上の都市出身の選手の割合は、偶然の割合よりも低かった(カナダでは人口1000人以下の過疎地は調査対象に含まれず)。アメリカの人口の約52%が人口50万人以上の都市に住んでいるが、そのような都市出身のNHL選手は約13%しかおらず、NBAでは29%、MLBでは15%、PGAでは13%だった。小さな都市では自由に遊べる場所が多く、逆に大都市では公園などで遊べる環境が少ないことが理由に考えられる。
自分の動きを考えすぎる傾向のあるスポーツ選手は、重要な試合で失敗する可能性が高い。
カリフォルニア州にあるピードモント市は、人口わずか10000人程度の都市で、360度回りをオークランド市に囲まれている。しかし、ポードモント市の平均住宅価格は、オークランド市の3倍も高い。ピークモンド市の公立学校はカリフォルニア州でトップ10に入るほどの上位にあるが、オークランド市の学校は常に低位にあるからである。
前頭前皮質(ワーキングメモリーが働く場所)に損傷を負った人は、マッチ棒を動かして数式を正しくする問題で高い正解率になる。これはワーキングメモリーが少ないので、普通の人とは違った目線でものを見れるからである。
著者の研究チームの研究。熟練したゴルファーの前頭前皮質のスイッチを遮断すると単純な3フィートのパットが成功することが分かった。ゴルフの技術を実行するために持っているワーキングメモリーと、意識的なコントロールを制限することによって成功するかだ。ゴルファーに関係ないことを考えさせたり、鼻歌を歌わせることによってワーキングメモリーを使い切らせることが有効である。
2003年のネイチャー誌に発表された研究によれば、テレビゲームをあまりやったことがない学生に、毎日1時間10日間続けてメダル・オブ・オナーという戦争ゲームをさせると、その後の異なった作業テストで記憶力と注意力が増加した。このゲームの腕前が上がるにつれて、ゲーム以外の注意力と記憶力が増加した。しかし、このような傾向は1日1時間ゲームをした場合のみに限られ、それ以上プレーすると逆に注意力や記憶力が低下する可能性が高い。
イスラエル工科大学の心理学者ダニエル・ゴーファー教授は、1990年代半ばにテレビゲーム「スペース・フォートレス」(飛行機を操縦する戦ゲーム)の開発に関わったが、このゲームは実際にイスラエル空軍の訓練の一環として取り入れられている。士官候補生にこのゲームを毎日1時間、10日に渡ってプレイさせたところ、実際の飛行技術が30%も上達した。イスラエル空軍ではこのゲームを恒久的に取り入れ、現在でも訓練に使用されている。このゲームは、アメリカの大学のスポーツでも取り入れられ、2006年のNCAA優勝校であるフロリダ大学でも、このゲームを使って選手の記憶力や注意力を訓練していた。
2006年、米ミシガン大学の心理学者プリーティ・シャーらが発表した研究によれば、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の学生はそうでない学生に比べて、日用品のより変わった用途を思いつくことができる。これは、ADHDの学生には情報が頭の中に入り込むのを阻止する能力が欠如していることが、かえって独創性を生み、それがより発散的な考えに結びつくと考えられる。
2006年に米ノースウェスタン大学とシカゴ大学が発表した研究。2003年の学習到達度調査(PISA:世界40カ国の15歳の生徒が受けるテスト)のデータを調べたところ、各国の女性に対する態度と、男女間の数学テストの成績の差に強い関係があることが判明した。男女の平等や女性に与えられる機会について国が開放的であればあるほど、数学の成績の男女差が少なかった。
フロリダ大学の経済学者デイビッド・フィリオが2006年に発表した研究。女の子がより女性らしい名前であるほど、高校で微分積分の授業を取る可能性が少なくなる傾向があった。フィリオによれば、より女性らしい名前の子(イザベラやアンナ)は、自分をより女性らしい理想像と結びつけており、あまり女性らしくない名前(テイラーやマディソン)の女の子と比べて、自分は周りの人から異なる扱いを受けている。よって、女性らしい名前の女の子は、伝統的に専攻科目である人文科学、外国語などに魅力を感じ、数学や科学のような教科は敬遠するようになる。
2007年、サイコロジカル・サイエンス誌に発表された研究。米スタンフォード大学で数学と科学を専攻する学生が、夏に大学主催の科学リーダーシップ会議のビデオを見せられ、参加したいかどうかを尋ねられた時、そのビデオで男子学生が女子学生より明らかに多数を占める様子が映し出されると、女性学生は会議への関心が減った。その会議が自分の専攻する科目に関連していてもである。しかし、ビデオの男女同数の会議参加者が写っていると、女子学生の関心は増えた。参加者の男女比は、男子学生がその会議に出席したがるかどうかには影響されなかった。自分たちの専攻科目で男女比の不均衡をすでに意識している女性生徒のみが、このビデオで影響を受けたのである。
著者の研究。瞑想の経験が全くない人が、プレッシャーの多い数学のテストを受ける前に10分間、瞑想の訓練を受けると、テストの成績がアップした。テストを受ける前に集中力を高めるマインドフルネス(ヴィパッサナー:観瞑想)の手短な指導を受けた学生は、テストの平均点が87点だったが、指導を受けなかった生徒の平均は82点だった。
2008年、米カンザス大学の心理学者ケリーダナハーとクリスチャン・クランドールが発表した研究。テストを受ける際に、テストを受ける人の性別の記入欄をテストの最初ではなく最後にするだけで、微積分(AP)のテストで、女子の成績が有意に高くなるとしている。これは、女性生徒に自分は女性であることを意識させないで、苦手意識なくテストを受けることができるからとしている。
2009年、ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・ソーシャル・テクノロジー誌に発表された全米7大学の調査。2008年の大統領選で、オバマ候補が民主党全国大会で指名受託演説を行う前に実施されたGRE(大学院入学のテスト)の成績は、白人学生の点数が黒人よりもたかった。しかし、オバマ候補の演説後と大統領選に受かった後では、黒人学生のスコアは上昇して、白人学生と同じレベルになった。
2006年、心理学者のニーラーンジャナ・グスグプタが発表した研究。アメリカ東部の同じ都市にある二つの全寮制の4年制大学で、入学したての女子学生、各80人に質問した。一方の大学は共学で、一方は女子大学だった。両方の学生とも、女性は指導者になるよりも追随者になる方が似合っているという意識があった。しかし、12ヵ月後には、女子大生の方は、男性の方が指導者になるべきという考えがなくなっており、逆に共学の学生は、男性の方が地位ある職に向いていると答えていた。この差は、彼女らが在籍する学校や女子大にいることとは関係なく、彼女らが毎日学校でみる指導者(教授や学長)に女性が多いかどうかということが関係している。これは大学に限らず、アメリカ空軍士官学校の女子学生は、数学の科学の入門コースが女性教授であると成績が伸びる。さらに、教授陣が全て女性だと、女子学生の成績はさらに伸びる。
熟練のダンサーが他の人が踊るビデオを見ているとき、彼らの脳をfMRIで調べると、脳の動きが活発化していた。しかし、脳が活発になるのは、ビデオの映像が自分でもできるダンスの時のみだった。
メリーランド大学のスポーツ科学者ブラッドリー・ハットフィールドの研究によれば、ベテランの射撃選手は初心者に比べ、引き金を引く瞬間の狙いを定める瞬間に、脳内のニューロンの活動が活発でないことを発見した。熟練した選手の脳では、運動野と前頭前皮質の結合力や交信が減少していた。
ノルウェーのスポーツ科学者ゲイル・ヨルデットの調査。過去25年(1982〜2006年)のFIFAワールドカップ、欧州選手権(1976〜2004年)、UEFAチャンピオンズリーグ(1996〜2007年)で行われた全てのPK戦を分析したところ、合計で298人の選手が366回のシュートをして、全体では74%のシュートが決まった。しかし、最もシュートを決めやすい選手とは、スーパースターではなかった。年間最優秀選手などの表彰を受けていた選手は、そうでない選手に比べ、シュートの成功率は65%程度であったが、将来、スーパースターになる選手(後に表彰される選手など)の成功率は90%近かった。つまり、スーパースターの選手はそれだけ注目度が高いので、より多くのプレッシャーを受けて失敗する確率が高くなると思われる。
テキサス大学オースティン校の心理学者による研究。2003〜2004年、2004〜2005年、2005〜2006年のNBAのレギュラーシーズン及び優勝決定戦の全ての試合の記録を調べ、試合の最後の数分間に行われたフリースローの結果を調べた。味方チームが1点差で負けている時、つまりプレッシャーが大きくかかっている時に、選手は自分の平均成功率よりも7%低い確率でフリースローを成功させていることが分かった。
サザン・ユタ大学のバスケットクラブのコーチ、ロジャー・リードは、ユニークな方法で選手のプレッシャーを鍛えている。選手たちが普段の練習をしている最中に、突然、コーチが号令をかけてフリースローの場所に集める。そして、選手がフリースローを決めれば休憩を取れるが、失敗すればコートの回りをダッシュさせられる。このコーチがこの大学に赴任した際の選手のフリースローの成功率は全米217位だったが、2009年には全米1位で80%強になった。
Rickson Gracie: Choke [DVD] [Import]
ヒクソン・グレイシー 王者の真実 [VHS] ASIN: B00005FVSE の原盤です。
DVDですのでVHSより視聴しやすいと思います。
確証はありませんが、リージョンフリーでないデッキで再生できたので、
リージョンコードなしに設定されているかもしれません。
過去の人とはいえ、400戦無敗のままヴァーリトゥードを引退したレジェンドです。当時30歳。
(ルールや技術が今のMMAとは違うという考えです。)
インタビューや練習風景も豊富でかなり見ごたえあります。
木村浩一郎選手関係のところは当然ですが、日本語で会話しているので内容もよくわかります。
きゅうりを箱詰めしながらの、ご両親との会話とかすごい微笑ましい。
中井祐樹選手がジェラルド・ゴルドーから一本をとる映像もあります。
大エリオのインタビュー、練習風景もあります。その部分はポルトガル語音声に英語字幕です。
ズール?と思われる比較的大柄な黒人選手とのリングでの、ポルトガル時代の試合映像も収録。
ボブスレーのためのお金を稼ぐため出場する選手がいたりと、その背景も様々。
今とは大きく技術が違いますが、総合格闘技の進化やルーツ、歴史に興味がある人間は必見と思います。
Choke
本国ではかなり売れたアルバムらしいけど、日本であまり有名じゃないのは、やはり歌詞がわからないと、このバンドの神髄が味わえないということに尽きるだろう。美しく心地よいメロディーだけでも十分魅力的ではあるけれど、実は、うっとりと聴いていられるような代物ではなく、歌われている内容がかなりシニカルだったり、時にエグかったり、物騒だったりする。そういうギャップを楽しむところは(作る方も買う方も)いかにも英国的なのかも。
1曲目、バカップルがいちゃつく様子を見せつけられた時の、何ともやりきれない気持ち…独り者はもう「今夜は自分を愛する」しかない? 3曲目は、「愛」の本質を皮肉たっぷりに歌い上げた名曲で、恋愛で傷ついた経験のある人なら誰でもうなってしまいそう。シングルヒットした8曲目はデュエットで歌われていて、英国版「三年目の浮気」って感じも。その他、劣等感や殺人、テロリズムなどが、あくまで美しいサウンドにのせて、アイロニカルにかつユーモラスに歌われている。
そんな毒気のある歌詞を歌いながら、男性ヴォーカルの声質はあくまでソフトで繊細、女性ヴォーカルの声もすごく可愛い、というところがまた魅力である。
Choke
本国ではかなり売れたアルバムらしいけど、日本であまり有名じゃないのは、やはり歌詞がわからないと、このバンドの神髄が味わえないということに尽きるだろう。美しく心地よいメロディーだけでも十分魅力的ではあるけれど、実は、うっとりと聴いていられるような代物ではなく、歌われている内容がかなりシニカルだったり、時にエグかったり、物騒だったりする。そういうギャップを楽しむところは(作る方も買う方も)いかにも英国的なのかも。
1曲目、バカップルがいちゃつく様子を見せつけられた時の、何ともやりきれない気持ち…独り者はもう「今夜は自分を愛する」しかない? 3曲目は、「愛」の本質を皮肉たっぷりに歌い上げた名曲で、恋愛で傷ついた経験のある人なら誰でもうなってしまいそう。シングルヒットした8曲目はデュエットで歌われていて、英国版「三年目の浮気」って感じも。その他、劣等感や殺人、テロリズムなどが、あくまで美しいサウンドにのせて、アイロニカルにかつユーモラスに歌われている。
そんな毒気のある歌詞を歌いながら、男性ヴォーカルの声質はあくまでソフトで繊細、女性ヴォーカルの声もすごく可愛い、というところがまた魅力である。