十五少年漂流記 (新潮文庫)
15人の少年たちが、漂流して無人島に流れ着き、
そこで2年間、サバイバル生活を送るという話。
途中で海賊なんかも出ます。
また、誰がリーダーか?みたいなことで、内部抗争もあったりします。
冒険小説随一の傑作でしょう。
子供たちが知恵を振り絞り、協力し合い、
ときに争いながら無人島で生き抜いていく様子は、
まさに純粋な感動を覚えます。
そして、読み手が同年代ならば、それは憧れとなるでしょう。
そういう意味で、読み始めの本としても最適です。
ベルヌ氏本人は、文体が崩れて読みにくいことで有名らしいのですが、
それは数度に重なる和訳で、解消されていますし。
そしてまた、西洋合理主義が体現された小説でもあります。
熟慮・節制・勤労というテーマが随所に表現され、
加えて男権社会・黒人・英仏の対立等、当時の世相が暗に表れています。
このような点から、「味読」するに十分にたる、大人の小説としても楽しめるのでは?
というよりも本来は、大人向けであったのが、時代と共に少年文学化した作品のようです。
まだ読んでいない少年は、この本から読書という漂流の旅へと出発し、
すでに通り過ぎた大人は、この島でしばしの休息と、懐かしさを味わってはいかがでしょうか?
海と毒薬 (新潮文庫)
有名な作品だが、恥ずかしいことに公害問題がテーマなのだとばかり思っていた。
事実をモチーフにした重い話である。戦争の狂気と、人間のエゴや欲望が合致したときに、道を外れてしまうことが分からなくなってしまい、連帯責任を押しつける共犯者になってしまうのだろうか。そして、直接荷担しなかったにもかかわらず、その場に居合わせたことで自分の無力さに一生さいなまれる。
この事件のような話は戦争体験でいくらでも聞くことができる。そういう感覚というのがやはり人間本来の素の感情に基づくものなのだろう、と信じたい。
本書では事件に直接の責任がある人間よりも、周囲の人間の生い立ちや行動を詳細に描くことで、事件によりリアリティーを与えていると思う。大勢の普通の人の行動で社会というのが構成されて、世の中は良くも悪くも動いていく、というと言い過ぎだろうか。
ソルボらく楽コンフォートマット グレー
今まで使用してきた座布団がボロボロでみすぼらしくなった時、
「そういえば、以前のピカイチ事典に掲載されていた、座布団あったよな〜」
との記憶から辿り着いた一品です。
腰痛気味でもあり、効果は実感しつつも、お値段が・・・。それで星1つ減。
使用期間がまだ短く、どのぐらい状態が維持されるか心配ではありますが、現時点では満足度高いです。
ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫)
いくら有名な話とはいえ、表紙の紹介文で話の筋をほとんどネタバレしてしまうのはいかがなものかと思いました。本編では、変身のことは最後まで隠されてますので。
ジーキルを「医師」と呼ぶのも、間違ってはいませんが「博士」のほうが適切だと思います。
内容については、ハイドが純粋な「悪」なのに対して、ジーキルは善と悪の混合体だというところが興味深いです。
己の欲求にしたがい奔放に生きるハイドに対して、その悪行に苦悩するジーキル。
善がある種の足かせとして描かれていて、はたして「悪」が本当に悪いものなのか考えさせられるところがありました。