わたしたちの教科書 DVD-BOX ~ディレクターズカット完全版~
いつも思うことなのだけれども、
子供たちに夢を託すということは、自分のことはあきらめたということなのだろうか?
クリスティーや横溝作品でのお決まりでは、最後の最後に一番の芸達者が
「実はわたし今まで嘘ついていました。事件の真相は……です」という告白をして幕となるのですが、
この「わたしたちの教科書」では、最終回に法廷で延々と告白をするのが高校生の谷村美月。20分くらい一人で喋ってますかね。
頬っぺたのど真ん中につぅっと真っ直ぐ涙流すの上手いよなぁ。
並み居る大人を差し置いて、最後に全部持っていってしまう。
そんでもって最終回のクライマックスが、中学生志田未来と高校生谷村美月の演技バトル。
子供ががんばっているのはよく分かるんだけど、大人が霞んでしまっちゃ駄目でしょ。
天才少女たちは今後世界を変えていくかもしれないけれど、日本の大人ってもう駄目なのかな、と思った次第。
あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書
実はこの本、すでに発売直後に入手していた。あるセミナーに参加した友人が紹介してくれたのだ。さっそく取り寄せひと通り読んでみたが、実はあんまり印象に残らなかった。それでも手放したくなかったのは、いつか役立つときが来るだろうと思っていたからだ。それから結婚し子どもが生まれて子育てに携わるようになってから、またあらためてこの本を読み返してみた。すると時を経てこの本のよさがじわじわと伝わってきたのだ。
日本の中学校で教えている「公民」という教科では、どちらかといえば政治や経済、社会の「枠組み」ばかりを指導し、それを丸暗記させる。これに対し、福祉国家で知られるスウェーデンでは、政治や経済、地域共同体といったなかで自分はどこに位置付けされ、どのような役割を果たし、さらに自分は他者に対して何ができるかを指導している。それは、日本の教育が「どんなことを知っているか」を重んじ、米国では「どんなことができるか」を重視するのに対し、スウェーデンでは「どんな人であるか」を大切にしていると読み取れる。日本人にとっては、とても新鮮な視点だ。
さすがに中学教科書をそのまま翻訳しているため、文章はわかりやすく、写真やイラスト、図表なども豊富で、もし自分が生徒の立場であればとても親しみやすい。機会があれば、この教科書を参考に私たちが暮らしている地域、さらには日本の社会をモデルに「新しい教科書」を作ってみたくなる。そんな一冊だ。
わたしたちの教科書 オリジナルサウンドトラック
学校という教育現場での問題をテーマにした社会派ドラマのサントラです。
心の闇、残酷さ、哀しさ、切なさ、後悔…ドラマのそれぞれの情景が想い出されます。
しかし、ドラマの内容にしては、大半の楽曲は余り重く感じられず、クラシック調の素晴らしい楽曲です。
3曲目と8曲目は激しめで11曲目は静寂ですが、それぞれ緊迫感のある楽曲です。
岩代さんの緊迫感や戦闘的な楽曲はカッコイイと思います。
10曲目は伸びやかで拡がりのある美しい旋律です。
Thinking Out Loud
ボニーピンクの魅力のひとつを、この最新作を聞いて思い出した。
幸福なのに、どこか漠然とした不安がつきまとう
陰があって鬱なのに、現実を受け止めて明日を肯定する
そんなイメージを、詞だけでなく曲や、また歌い方から表現すること。
時にそんな楽曲は、地味だったり、分かりにくかったりする。
だけど何回も聴いて味が出てくるような曲が多かったからこそ、長く好きでいられたし、ずっと支持されている理由なのかもしれない。
ここ何作かのシングル曲は、吹っ切れたかのようなアッパーな曲が続き、世に出る機会も増えた。メロディやアレンジも含めて、一度聴いただけでわかる完成度の非常に高い楽曲もそれはそれで楽しいのだけど、なんとなくステージが別の方向に上がっていってしまったと感じていたのは、単純に売れたから、という理由だけではない。わかりやすさを追求したが故に感じられなくなった部分があるのは当然のことではあるが。
本作では陰のあるボニーが戻ってきた。どの曲にも、簡単にはわからせてくれないような深みや心地よい違和感を感じる。収録されているシングル曲「A Perfect Sky 」「Anything For you」「Water Me」は明らかに他の曲とは雰囲気が違う(それは決して悪いことではないが)。悲しいテーマであるはずの「Water Me」でさえも、わかりやすさ故に他の曲が持つ深みはないように感じる。
シングルのヒットがあって、その後の初のオリジナルアルバムとしては、“シングル曲以外は地味”という感想も妥当なところだと思う。だけど昔からのファンにとっては十分に満足いく作品になっているはずだ。
昔は、製作時の精神状態がそのまま楽曲に反映されている、という内容のインタビューを読んだことがあるのだが、今はどうなのだろう。さすがにもう、計算でやってるのかもしれない。このままいってください。
Water Me
泣けるほど美しく、そして考えなければいけない事を感じさせる、素晴らしい歌詞。
この人は天才ですね。歌詞を読んだら胸の奥をグッとつかまれたような気分でした。
…僕は、これまで周囲をどれ位真剣に見ていたのでしょうか?
…あなたは、周りの人が口に出せなかった苦しみに気づいた事はありますか?
BONNIE PINKは不思議な哀愁を漂わす曲を作り出せる、数少ないアーティストだと思います。