むだい
ややおぼつかないギター・ロック・バンドだ。Vo.の秀吉の声は少し頼りなく、決してうまくなんかない。
だからこそ、「秀吉」なんて考え無しみたいなバンド名で「むだい」なんて気の利かないタイトルにして、おまけにボンヤリメガネの男の子ルックスで歌ったのだね。ジャケットもイノセントな少年のイラストにしちゃったんだね。
逆転マジックだ。「まだうまくないんですけどギターを抱えて歌い始めたんです、聞いてください、一生懸命歌いました」というメッセージがものすごいベクトルでリスナーの胸を打つ。くっそー、お前ら実は知能犯だな。
心に残るギター・リフや、大多数の心をつかんでしまうような必殺のサビは、まだない。だが、その片鱗は見える。「さざなみ」でシャープなカッティングとリズムによって表現される疾走感。現在の持てる力を総動員して工夫したらしい「夕の魔法」の曲展開とアレンジ変化。
これから伸びようとして今の精一杯を歌う。その未熟さ自体にこんなに魅力を感じたのは、私は初めてかもしれない。
ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)
バンド青年の種田は、繊細で鋭敏な感受性の持ち主。
同棲しているOLの芽居子は、フリーターである種田に将来への不安を
感じつつも、生活を支えている。
大学時代から続いてきた平凡でゆるやかな二人の日常は、会社生活に
耐えきれなくなった芽衣子が「自由」を求めて退職したところで変化を迎える。
芽衣子の貯金がつきるまでが、東京生活のタイムリミットになったのだ。
好きなことだけやって生きていきたい。だけど現実は甘くない。
アタリマエだった平凡な日常はタダじゃなかった。
種田はバンドで生きたい、夢がかなわなかったら、すっぱり諦めると覚悟を決める。
輝かしい夢へのチケットが手渡されそうになるが、それは二人が理想としていた夢ではなかった。
私は、種田や芽衣子のように「大人社会への違和感」を覚えない子供だった。
一日も早く大人になって、身を切るような修羅場で戦うことで生き抜きたいと思っていた。
そうして誰よりもシビアでしたたかな大人になった。
それなのに、浅野いにおの作品を読むと不安になる。私が知らなかった、見えなかった世界がここにある。
生きることに不器用だった旧い友人たちを思い出す。
平気で大人をやれてるお前らには、大事なものなんて何も見えちゃいねえよ、と突きつけられた気がした。
私のように、人それぞれが全部違う、というアタリマエのことを理解しないで大人になってしまったアホの皆さんへ。
「浅野いにおって何度読んでも全然わからねえ〜!」と声にならない叫びを上げましょう。
それでいいのです。そう簡単にわかられてたまるか、ってのがロックの魂。
ソラニン
初めのコードが鳴り響き、「思い違いは空のかなた」と後藤氏が歌い始めた瞬間に名曲だと感じてしまう力を持った一曲です。
青臭さと、衝動と、せつなさと、そしていとおしさ。そのすべてが詰まった音色。
あの頃のアジカンの匂いがして、今のアジカンの匂いもして。
まさに「ソラニン」であり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONそのもの。
そして期待は、次へ、アルバムへ。
後藤氏はある音楽雑誌のインタビューで、次回作はある意味で"君繋ファイブエム"のようなアルバムになると語っていました。
あぁもう、楽しみすぎる。
うみべの女の子 1 (F×COMICS)
浅野いにお氏独特の毒が漂う作品です。
"ソラニン"のように穏やかで綺麗な画ですが、内容には"おやすみプンプン"のような苦悩と陰があります。
エロいです。
中学校を舞台に、少年と少女のセフレのような関係が描かれています。
評価は分かれるでしょうが、"ソラニン以外の作品"の方が好きだという人にはオススメします。
ソラニン【Blu-ray】
以前DVDが発売された時
豪華版?の特典映像を観たかったのですが
売り切れていた為、入手できませんでした。
それが1年ほどで再販!しかもBlu-ray!
早く特典映像が見たいです。
発売されるまでは浅野いにおさんの
「ソラニン」を読みながら待ちます〜!