フランケンフィッシュ [DVD]
ジャケットを見ると謎の大怪魚が海の底から
水着の美女を襲う瞬間のようですが予想通り
このようなシーンはありません。
B級映画のお約束『お色気シーンを入れる』も
本編では関係ないところで水着になってくれました。
(決して若くないおばさんなのが残念です)
さて肝心の大怪魚ですが生息地はなんと
せいぜい水深4〜5mの『川』です。
ジョー●みたいな無残な死体発見の導入部から始まり
主人公は現地調査に赴きます。
そしてのんきに暮らすボートハウスの集落が大怪魚に襲われます。
魚が相手なら陸に上がればいいじゃん...それでは
話にならないのでとりあえず何名か犠牲者になります。
死体の造型美をいかに長く見せるかもB級映画のお約束です。
嫌われ者も登場して死亡フラグに一番乗りですが
なかなか死にません。意外性の演出もB級のお約束です。
特筆すべきは主役であるはずの大怪魚が『大きめのマグロ』程度なのです。
ショボイCGも素敵です。
そして危機一髪の後はお約束のラスボスの登場!
ジャケット写真よりは小さいけど程々に強そうです。
しかし予算の関係かあっという間に倒されてしまい
主人公はボートハウスで知り合った女と結ばれめでたしです。
最後のお約束『続編への布石を残す』もあり
ここで生き残った嫌われ者を処刑です。
平凡なB級脚本ですが真面目に作っているので好感が持てました。
B級SFホラー好きの人にお勧めですがそれほど面白い訳でもありません。
あの頃の歌
このCDには、大正時代から昭和初期にかけて主に活躍した声楽家の円熟した歌声が収められている。「カルメンお美」と呼ばれた佐藤美子の「ハバネラ」、藤原義江と共にイタリアに留学していた松山芳野里の「波をけり」、初期の古賀メロディーなどもレコーディングしていた関種子の「ホフマンの舟唄」、軍艦の異名を持つ長門美保の「旅愁」、ベルトラメリー能子の「故郷を離るる歌」、東海林太郎の声楽の師としても有名な下谷川圭祐の「闘牛士の歌」、そして、お馴染みの田谷力三の「恋はやさし」など、いずれも声楽家として名を馳せた一流芸術家たちの昭和40年代の歌声である。さらにボーナストラックとしてNHK放送から収録された藤原義江の「波浮の港」まで加えられて、大満足の1枚である。
泥棒成金 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
軽妙なラブサスペンスとでも言いましょうか、ヒッチコックのキャリア上特異な作品です。この作品に対してはG.ケリーの魅力とその後辿ったモナコ公国王妃としての顛末、そして南仏の風光明媚さとE.ヘッドのゴージャスな衣装(今となっては成金趣味的な嫌らしさがほの見えるのが珠にキズ)ばかりが喧伝されて、作品自体への真っ当な評価は少ないです。
実はこの映画は見事な仏vs米の文化論にもなっています。ルビーは元レジスタンスの闘士で宝石泥棒の名手‘CAT’。功成り遂げたなら引退して優雅な余生を送るというカトリック的な人生観を実践しています。元の仲間達も料理人や給仕をやっていて地に足をつけた生活が仄見えるのです。他にも花売りの市場、張り込みの合間に石でサッカーをやっている警官達等々、見事な仏紹介になっています。
対して米国人観光客の母娘は、亡き父親が死ぬまで愚直に営んでいた農地から偶然石油が出て成金になり、金の亡者から逃げるため世界漫遊・有閑の旅をしています。「米国男性は仕事や野球の話題しかしない」という野暮ったさ。母親は「どうせ保険がかかっているから」と宝石盗難にも他人事。娘はB.オーベール演じるフランス娘の翳りと底意地とは全く対照的。臆面もなくルビーと渡り合い、ここぞと言う時には車をぶっ飛ばし、花火を背景にもの凄い誘惑を仕掛けていきます。
この映画が作られた当時、金満ハリウッドは西欧・中東の文化まで自在に扱えると思っていたかのような大作映画を作っていきます。B.オーベールはG.ケリーを評して「お金があるだけじゃない!」と敵愾心を露わにしますが、事件の根本に「世の中は金次第」という感じで尊大に振る舞う米国人への反感があったのではないでしょうか。元々はヒッチコックも英国からハリウッドへ引き抜かれた人でした。米国の在り方にこういった揶揄的視点を持ち得たのもそういう経緯からだと思えます。なかなか一筋縄ではいかない佳作です。
ベスト・オペラ100
星5つではまだ足りない。あったら7つか8つ上げたいようなセットである。
ほとんどの廉価版オムニバスCDが、雑誌のおまけのような、「さわり」の部分だけを集めた小間切れ集なのに対し、このCDは、アリアや二重唱を前奏から最後までしっかり収録しており、ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」の狂乱の場は16分43秒がノーカットで納められている。
曲目もモーツァルト「魔笛」の「夜の女王のアリア」、「おれは鳥刺し」、ヴェルディ「リゴレット」の「女心の歌」、ビゼー「カルメン」の「ハバネラ」と「闘牛士の歌」など定番の名曲は総て入っているほか、オベールの「ポルティーチの物言わぬ娘」(序曲は運動会用のマーチとして一部が使われている)など、よほどのオペラおたくでも知らない珍しい作品も収録されており、しかも演奏者は、カラス、シュヴァルツコップ、ドミンゴ、カレーラスなどこれ以上ない顔ぶれである。
録音は多少古いものがあるが、却って現在のAV時代の、見せるため、あるいは劇としての総合性を大事にする演奏よりも、個性豊かな名歌手たちの特長を十分に引き出すようなこの時代のほうが、ステレオ初期からレコードでオペラをを楽しんでいる人には好ましい。オペラ入門者だけでなく、オペラ通も十分に楽しめ、鑑賞できるすばらしいセットである。
惜しむらくは、8つ折り2枚の解説書が、曲のデータと解説が別々になっていて見にくいこと。また、解説書の中に、歌手たちの簡単なプロふぃkるを紹介してくれるともっと良かったと思う。