破滅―梅川昭美の三十年 (幻冬舎アウトロー文庫)
梅川昭美といえば昭和を代表する悪党の代名詞の一人であろう。
三菱銀行襲撃42時間の篭城で警官を含む4人を射殺。報道への要求や警察への挑発はもとより、女性行員を裸にして自らの盾にさせる、自分が撃った瀕死の人間の耳を同僚にナイフで削がせる。など、語られるエピソードに至っても人間の倫理観の枠を越えた当時からしてもかなりセンセーショナルな内容だった。彼の隠れたエピソードの一つとして、生前鳴海清と付き合っていた女性とも関係があった、というものがある。昭和という時代に世間を震撼させた2つの事件が見えない糸で繋がっている、(比喩的な表現ではあるが)それこそ確立的には天文学的な値であるだろう!
その真贋を確かめたく、30年以上経過した現在この本を手に取ってみたが残念ながら当項目についての記載は一切なかった。それもその筈、一通り通読した巻末の頁に(1979年毎日新聞に連載した『破滅』の編纂)と記載があった。一様書き下ろしらしいが、アッと驚くような事実や後日談などの追記もなく当事件にそこそこ詳しい人間が読めば既知の時系列でしかない。実のところネットで隅を突いた方が意外な事実に出会えたりする、そんな昨今である。
ただ、幼少期からその死に至るまでの彼の30年間の人生譚においてはP245ビッシリと書かれており、事件をあまり知らない方や興味がある方には面白く読めるだろう。彼の風貌はノリの効いたド派手なスーツを着込み、アフロヘアーを2〜3日おきに理髪店でセットしたりと大藪作品に傾倒した所以か、普段から伊達男を気取っていたようだ。がしかし、最終的にはた迷惑な殺人鬼という形容で終わった。遺族、警察、もとより世間一般が犯人憎しの風潮の中、本書に至っては記者達の主観など一切挟まず只淡々と事件のあらましを列座していると云う点では大いに評価したい。と、同時に非常に読みやすい文章であり裁判資料なども併記され、事件資料としての価値も高いものである。とだけ付記しておきたい。
かめきちのたてこもり大作戦 (おはなしガーデン)
家が中華料理店で、さびしい想いをしている「しんご」。
「かめきち」の家族と友人が解決へ手助けします。
関西弁でくりひろげられる楽しい会話に、ぐいぐいと
ひきつけられ、笑いながら楽しく読むうちに
友情、家族の絆をしっかりと感じ取ることができます。
迫力のある絵が、またとてもよい。
SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 Blu-ray BOX
SPECという特殊能力を持つ人間が実際に存在する事は2010年現在になり徐々に脳科学的にも証明されつつあるので、ありえないという気持ちと、リアルな気持ちとで毎週、楽しみにしていた。
刑事ものらしく緊張感も保ちながら戸田恵梨香の見事な、はじけっぷりと(得意の書道の腕も見せ)加瀬亮の筋肉バカぶりのコンビネーションは抜群だった。
また未詳事件特別対策係の暗く、そして何となく神秘的な照明が怪しさ、たっぷりで雰囲気があってスリリングで真面目なシーンでの、ふいの笑いありのストーリーは上手く次へと、つないでいき飽きる事なく満喫できた。
もともと刑事ものやサスペンスドラマは好きなのだが一度、観たらトリックなどは分かってしまうので、ほとんどの作品は、また観たいとは思わないがSPECは、まとめて何度でも観たいと思わせてくれる魅力のある作品だった。