くちびるに歌を
舞台は中学の合唱部ですが、少年少女を対象とする青春小説にとどまらない、幅広い年齢層が共感できる大衆文学作品です。場面場面で情景を眼差す主体者が順繰りにかかわりながら展開する物語の書きっぷりは結構凝っていて、読者の適度な集中力を継続させてくれます。
大きなストーリーラインはフランス映画の「コーラス」を思わせますが、五島列島の日本的情景とアンジェラ・アキの「拝啓十五の君へ」の調べが繊細に重なり合うビジュアルとオーディオを自然と想起させる表現力の豊かな作品でした。
スニーカーCDコレクション きみにしか聞こえない CALLING YOU
原作もとてもいい作品でしたが、コレもすごくよかったです!
このサイトでドラマCDがあることを知り、
思わず勢いで買ってしまったものでしたが今では買ってよかったと本当に思っています。
乙一さん自らの手直しなので、原作とちょっと異なったストーリーでも違和感なく楽しめました。
いや、こちらのほうがストーリーもしっかりしている気もします。
声も結構あっていましたし、実際、このCDでシンヤ役の入野君が好きになりました。
原作同様、涙の出る切ない作品に仕上がっていますが「救い」もあります。
何度も聞きたくなること間違い無しです。
視えるんです。 実話ホラーコミックエッセイ (幽ブックス)
怪談やホラーが好きな自分には非常に興味深い内容ですが、可愛い絵と作風により終始楽しく読めました。
単に読書の恐怖心を煽る作品ではなく、霊との付き合い方について考えさせられる話も多いです。
ホラーコミックとしてもエッセイとしても楽しかったです。
絵はメチャメチャ気に入ってます!
KIDS 初回限定 『絆』 [DVD]
もっとも愛情を受けたい時期に、愛されない子供として育ったら…。また、多感な時期に、精神的にダメージを受けたら。この映画は、そんなトラウマを抱える、特殊な能力を持っているアサト(小池徹平)、タケオ(玉木宏)、シホ(栗山千明)の3人の友情の映画です。
現代のように、ケータイで結ばれているよりも、もっと強い、人を理解する能力にたけているのは、身を持って「他人の心の痛みがわかる人間」だと思います。もちろん、想像力というものもとても大事で必要ですが。それにしても、子供というものは、いつでも親を慕うものなのですね。それが、たとえ親の資格がないような人間でも。とてもせつなくて、そして、友情と、自己再生というものを押し付けがましくならないように描いている作品だと思いました。
またこの作品にハマった人は、原作ではなく、ノベライズの相田冬二さんの「KIDS」(角川文庫)を読むと、よりいっそうそれぞれのキャラクターを身近に感じる事ができると思います。シホのブログとかもでてくるし。ちゃんと小説になっているし、買って損はないですよ☆
きみにしか聞こえない [DVD]
元々は上映されていた時からなんとなく気になっていたタイトルでしたが、レンタルの新作コーナーに並んでいたのを偶然見つけ、借りてみました。
物語自体は、横浜と長野といった離れた場所に住んでいるリョウ(成海璃子)とシンヤ(小出恵介)が頭のケータイというものでつながったところから始まります。頭のケータイという設定も非常に面白いのですが、さらにそのケータイには一時間の時差が生じるという設定が、映画のラストにものすごく光ります。成海璃子、小出恵介はもちろん、ストーリーで欠かせない原田さんこと片瀬那奈も好演していて、キャスティングは見事にはまっていて、ストーリーも情報を詰め込みすぎず、シンプルに構成していることで、一つ一つのシーンが印象に強く残ります。そして映画のラストに、ドリカムのきみにしか聞こえない、最高です。
この映画は恐らく2007年の邦画ではトップの出来だと思います。最近の邦画はとてもストーリーを丁寧に組んでいるものが多くて面白く、反対に最近の洋画はCGばかりが強調され、ストーリーがお粗末なものが多いように感じます(中には映画じゃなくてイメージビデオだろ、と思うようなものも)。やはり映画はストーリーあってこそです。
久しぶりに見終わったあとに不思議な余韻に浸れ、同時に素晴しい作品に出会えたことを嬉しく思いました。ストーリーの面白さもありますが、それ以上によくこんな映画を作れたな、と制作者の技量に感心してしまいました(笑) こんなに満足できる作品はそうないと思いますよ。